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第15回宇宙ユニットシンポジウム 2日目

昨日の1日目に続き、オンライン参加した第15回宇宙ユニットシンポジウムについての覚え書き。といっても今日については個人的に第3部の宇宙倫理(とそれに続くパネルディスカッション)がハイライト......なにせ昨年までと違って、今や『宇宙倫理学入門』も『宇宙倫理学』もいちおう読んだ身なのでね。

Zoom参加でありがたいなと思ったのは、Q&Aで個別に直接、先生方から回答を(質疑の時間外であっても)いただけたこと。物理開催ではなかなかこう、進行上の制約から複数の質問に対し同時並行的に打ち返すって、できないですよね。

伊勢田先生へ:AIやロボットについて指針が「乱立」されている、とのことですが、これは異なる組織がそれぞれに独自の指針を出しているということでしょうか。また、宇宙分野で同じ指針の「乱立」を未然に防ぐ手立てはあるのでしょうか。......という質問へのご回答:

大きいところではEUの指針から小さいところでは各学会や研究機関の指針まで、いろいろなレベルで指針が作られていて、個々の研究者は自分はどの指針に従えばいいのかよくわからなくなっているのではないかと思います。生命倫理学ではヘルシンキ宣言のようなグローバルな基準が先につくられたので他もそれに従う形になってきましたが、宇宙倫理学で同じような権威のある指針が作られうるかというと現状では難しいかなと思います。

伊勢田先生へ:火星に干渉して良いか、テラフォーミングは許されるのかというお話についての質問です。現生人類は地球に対してはすでに過度に干渉し、また作り替えてきた側面があると思います。地球は良いけど火星はダメ、といったふうに惑星単位で「分けて」考えることが倫理学的に是とされている? とすれば、どのような根拠からでしょうか。......という質問へのご回答:

そもそも地球上での人類の開発自体が環境倫理学的には「やってしまったからしかたない」「どうしても必要だからしかたない」という形で追認されている感じではないかと思います。火星についてはどちらの理由も当てはまりにくいかもしれません。つまり、もし改変せずにすむのであれば環境をできるだけそのまま保存すべきだ、というルールを地球と火星に同じようにあてはめても、実際の結論が変わってくる場合がありえます。

児玉先生へ:オーバービューエフェクトは大変興味深いのですが、宇宙開発の社会課題に対する貢献として、それを正当化の理由に据えることは可能なのでしょうか。昨年、英ウィリアム王子が宇宙旅行を批判(大富豪は地球を救うことに注力すべきと主張)していましたが、例えば宇宙観光の推進を「地球を救うこと」として主張するのは無理筋でしょうか。......という質問へのご回答:

おっしゃる通りかと思います。気候変動のような現代社会の問題を解決するために重要だと思いますし、また、子どもたちの教育にとっても重要だということを研究によって示すことが重要ではないかと思います。

......いずれも大変参考になるご回答で、学びがありました。ありがとうございました。

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