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第15回宇宙ユニットシンポジウム 1日目

昨年に続き、コロナ禍を踏まえオンライン開催となった、第15回宇宙ユニットシンポジウム。おかげで今年も、京都へ遊びに行く口実が失われて残念。というのはさておき、大学院での調査・研究の進捗が芳しくなくてポスター交流会への参加は見送ったのですが、例年面白いお話が聞ける貴重な機会なので、Zoomで1日目のセッションを聴講しました。

全部ではないけれど、特に気になったところを覚え書き:

宇宙における観測可能なハビタビリティの拡張
JAMSTECの高井先生の講演。著書を読みたいなーと思いつつ、結局まだ読めずにいるのですが......いやめちゃくちゃ面白かったですね。結論自体は割と身も蓋もないというか、生命とは何かが未決、加えて地球上でしか生命現象を確認できていない以上、ハビタビリティを普遍的に定義するのは無理ですよねっていう。やっぱり先生の著書は読もう。あと、代謝の揺らぎについて自分なりに理解を深めたい。
小惑星探査機「はやぶさ2」の成果と今後の展開
言わずと知れた吉川先生の講演。最後のスライドで、太陽系小天体の重要性について科学、資源、技術、スペースガード、有人ミッション、文化創造という6つのカテゴリーに分類して整理していたのが興味深かったです。これはそのまま(小天体に限らず)宇宙開発全般に応用ないし拡張可能な意義であり、人類が取り組む動機たり得るのではないか。
月と火星の水事情 ― 月に行こうか、火星に行くか
東京工業大学の関根先生の講演。まとめのところで何に価値を見出すかこそが真の問題とされていたのに強く共感。むしろそれにもっと強くフォーカスしたお話を個人的には聞きたかったです。科学的な価値は多分もはや説明不要であり、ここから先の時代は文化、社会、経済的な文脈でどう価値づけるかこそ問題であり、そこには多分に倫理学も絡むはず。
宇宙建築 人工重力研究
ルナ・グラスやマーズグラス、初めて聞きました。講演中に紹介されたのと同じ動画が、太陽系内惑星居住に向けて - 太陽系外惑星データベースで見れるっぽい。とても面白いですが、何らかの理由で回転機構が突然故障してしまうような場合への対処が難しそうに感じました。どういった対応が想定されるでしょうか。と質問したところ、突然止まったら交通事故ですね。時速130Kmぐらいですから。安全装置が必要ですとご回答いただきました。
宇宙ビジネスに挑むいま、大切にしていること
何となくSpace BD社の会社説明会に参加しているような気分になりましたが、興味深く拝聴。技術とビジネスの接続という言い回しをされていたけれど、自分が興味を持っているのは、それらに社会課題が現状どこまで接続できているかなので......あと気になったのは、「JAXAは失敗できないけれど民間は失敗できる」といったご発言。確かに社会的な意味でのプレッシャーは格段に違うかもですが、一切の失敗が許されないわけではないでしょう(失敗にも許されるものとそうでないのと二種類ある認識)。
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