@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

電子出版アクセシビリティの現状と課題

日本電子出版協会と文字情報技術促進協議会の主催によるセミナー、電子出版アクセシビリティの現状と課題にご招待をいただき、参加してきました。期せずして、11月9日の図書館総合展で一緒に登壇させていただく植村さんのお隣の席で聴講したのですけど、植村さんは座ってる時も立っている時もすごく姿勢が良くいらっしゃって、羨ましいというか素晴らしいなというか......自分ももっと背筋を伸ばさなければいけないなと思いました。

閑話休題。第1部はまず日本マイクロソフトの大島氏が講演情報アクセシビリティの現状とマイクロソフトの取り組みと題して、そもそもアクセシビリティとは何ぞやというところから、マイクロソフトの取り組みを実際にデモを通じて紹介。アクセシビリティの確保っていうと何かとコンテンツの話にフォーカスしがちですが、リーダーや提供方法も重要な要素!というお話には激しく頷くなど。Seeing AI、そういえば試してなかったので触らないとなぁってのと、あとはやはり日本語対応して欲しいと思いました。あとはAccessReadingが初耳だったので、後でチェックします。

大島氏に続きWordTalkerについてイーストの柳氏が紹介(「Word talkerご紹介」)。興味深かったのが質疑応答ででた日本語と英語をどう判別しているのか?という質問に対する答え。複数の手法を組み合わせているそうですが、一筋縄ではいかないですね。質問者の方はフォントを見ているとの想定をされ、だとすると全角と半角で違う音声エンジンが使われるのではとの想定までされていました。HTMLでいうlang属性みたいな存在、Wordで聞いたことはないし(そもそもWordに詳しくはない)、やはり辞書を併用しつつ文字列自体をみることになるのでしょうね。

第2部は中根さんの講演、「デジタル化による視覚障害者の読書環境の向上と課題」。別のイベントでお話しされた内容がベース、とおっしゃっていましたが、それってWeb制作者による電子出版の実践 ~電書業界に乗り込め! 今がそのときだ!~の時のかしら。中根さんがスクリーンリーダーに普段喋らせているのと同じ、とまではいかないまでも、比較的高速な(と自分は感じる)マシンガントークは聞いていて楽しいですね。サイトワールドについて言及した際の「一度に見たことがない量の視覚障害者がいるので驚かないように」とか、笑いを誘うトークをちょいちょい突っ込んできます。

中根さんのデモで印象的だったのが、音声読み上げに対応していないKindle版コミックで、ページを繰っても虚しくヒュッ、ヒュッっていう音だけが連続したシーン。まるで野球で空振りでもしてるみたいでした。まぁコンテンツが取得できないまま読み進めるというのは空振りと近い印象ではあるけれど。あとは正しく読み上げられたいがために「IT」を「I T」などと(間に空白文字を挟んで)表記するケースに言及した際、視覚障害者が正しい書き方なり一般的な表記を知る機会を奪うという意味でも避けるべきというのは、なるほどそういう視点もあるか、という点で勉強になりました(同ケースについては『電子書籍アクセシビリティの研究』公刊記念シンポジウム参照)。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2017年10月 > 電子出版アクセシビリティの現状と課題
Google カスタム検索を利用しています