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劒岳〈点の記〉

私は毎年のように剱岳に登っていて、昨年は8年連続の8度目、しかもちょうど誕生日に登頂したくらい剱岳が好きなのだけど(剱岳〜大日三山〜称名滝 2024)、実はこれまで一度も『劒岳〈点の記〉』を読んでなかったし、その映像化作品を見てもいなかったんですよね。

剱岳好きとして、読んでおかねばという一種の義務感はあったのです。あったけれど、とにかく小説を読むことに対する苦手意識、忌避感が限界まで肥大化しており以下略。そんなこんなで『遥かなる未踏峰』同様ヒマラヤトレッキング2025春の道中にようやく読み終えました。

2021年5月にKindle版を買って以来、4年近く放置していたわけで、だいぶ寝かせてしまったなー。感想としては、著者の持ち味?なのかもしれないけれど実に淡々としていて......なんていうかな、すごく硬派な印象。ゆえに盛り上がりにも欠けた感じがしたのだけど、私にとってのハイライトはここ:

柴崎は目頭を曇らせた。競争相手であった山岳会が、実は剱岳登頂の意味を最もよく理解する見方であったことに泣けたのであった。

無事に剱岳への登頂を果たしたにもかかわらず、日本初ではなかったことが要因で、費やした苦労や期待に見合った評価を陸軍から得られず苦悩する主人公の柴崎。その彼の功績を一番理解し得たのは、実は登頂を競い合った山岳会だった......というオチ。ここは泣けますわね。いずれ、映画も見てみたいと思います。

あと、チャルメラというちゃんとした楽器というフレーズに、ハッとさせられました。チャルメラって完全にラーメン、明星食品の商品の固有名詞としてしか認識できなくなっていたけど、そういえば楽器だったんだ!!以下、Wikipediaの「チャルメラ」のページより引用:

屋台のラーメン屋の客寄せとして、チャルメラで鳴らすメロディー(ソラシーラソー ソラシラソラーというもの)があるが、これを鳴らす自動車用警笛はチャルメラホーン、チャルメラと呼ばれる。

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