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公的機関のWebサイトにアクセシビリティオーバーレイは不要

先週のことですが、政府広報オンラインが、いわゆるアクセシビリティオーバーレイを導入したことを広報していました。公的機関にありがちな横並び意識や、Webアクセシビリティに対する理解不足を背景として、他の省庁や地方自治体においても今後、同様のソリューションの導入が相次ぐことでしょう(誠に遺憾ながら)。

これまで何度か書き記してきた(そしておそらく今後も書き記すことになる)とおり、私はWebアクセシビリティの専門家として、またOverlay Fact Sheetに署名した一人として、オーバーレイソリューションに異議を唱えます。コンテンツがアクセシブルに実装されている前提において、その種のソリューションを導入する必要は、全くありません。

とりわけ政府広報オンラインのような、みんなの公共サイト運用ガイドラインに則り、JIS X 8341-3:2016に基づいてWebアクセシビリティの継続的な維持・向上に取り組んでいる公的機関のWebサイトに(実際、政府広報オンラインはウェブアクセシビリティ方針を明示し、また試験結果を公開しています)、オーバーレイは不要です。それを導入するだけのお金があるなら、コンテンツそのものの充実に費やしていただきたいと、私は思います。

Webの閲覧において、文字サイズの変更や、文字と背景の色の組み合わせの変更といったカスタマイズを日常的に必要とする方は、閲覧するサイトがオーバーレイを導入していようがいまいが、OSやWebブラウザがネイティブに備えている機能、あるいは支援技術を活用し、カスタマイズを実現しています。オーバーレイソリューションが有効に機能する場面が皆無とまでは思いませんが、本質的には必要ないものと考えます。

同じように考えている専門家は、私以外にも大勢います。先述のOverlay Fact Sheetには、現時点で700人以上が署名しています。また昨年WebAIMが実施したアンケート調査によれば、Webアクセシビリティに実務で携わっている回答者の67%がオーバーレイの類を全く効果的ではないか、あまり効果的ではないと評価しています(障害当事者に限るとその数値は72%に上昇します)。

私としては今後、Overlay Fact Sheetの日本語化対応(同サイトのグローバル化について作者のKarlさんは前向きでした)に協力したり、またオーバーレイの提供する機能をネイティブに実装し、かつユーザーが使いやすいUIで提供するよう、Webブラウザのベンダーに働きかけるといった活動(だけじゃないけど)に取り組んでいきたいと考えています。

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