左腕が使えなくなった時のこと
著
アクセシビリティ Advent Calendar 2019 - Adventar22日目の記事です。
10月の登山中に黒部峡谷で骨折したため、それから1ヶ月ほどは左腕(利き腕ではない)がまともに使えなくなってしまいました。40代も半ばを過ぎてからの、生まれて初めての骨折です。今はもう骨はくっつき、可動域も元通りになりつつありますが、当時の苦労や感じたことなどを記憶が薄れる前に覚え書きしておこうと思います。あまりアクセシビリティ文脈の内容とはならないかもですが:
- 朝起きてまず困ったのが、顔を洗いにくいこと。右腕一本では思うように水をすくったりできなくて......そこは水をうんと溜め込める洗顔用のスポンジみたいのがあれば良かったかもしれません(結局探さなかった)。
- 同じことがシャワーを浴びる時間にも言えて、なかなか右腕一本で身体を洗うというのは難儀しました。昔、背中の痒いとことろを掻くための「孫の手」という商品がありましたが、ああいう感じで背中を洗うための道具があったら......と思いました(やはり買いに行きはしなかった)。
- 髭剃りのジェル、それまでは左手の手のひらに少量出してから、右手に取って少しずつ顔に塗りつけてたのですけど、当然それもできません。どうしたかというと、ジェルの粘性が高いのを良いことに、顔をやや横に(すぐと垂れてこないよう)傾けた状態で、直接ジェルを塗りつけるようにしました。
- ドアノブなどが良い例ですが、力を入れたり捻るような動作を必要とする物については、そうするたび激痛が走るので、弱い力ないし触れただけで操作できると全般的にありがたく思いました。ちなみにいまだに腕の付け根に対して圧縮するような向きの力は、痛みがあるのでかけにくいです。
包帯でギプスを腕に巻きつけていた間は特に、人から「身をもってアクセシビリティの重要性が啓発できますね」的なことを言われたのですけど(注:自分は業務の一環でWebのアクセシビリティに関わっています)、それは全くもってその通りというか、少なくとも自分には良い学びの機会となりました。
つい先日もエンジニアのための障害疑似体験会なるイベントが催されたようですが(自分は不参加)、実際に障害を負わないまでも、負った時にどのような苦労を強いられるか、またそれをどうすれば乗り越えられるか疑似体験をしたり、あれこれ想像してみるというのは、障害当事者について学ぶのと同じく意義があると思います。自分の場合、既に視力(老眼)の面でiPhoneのアクセシビリティ機能のお世話になっていますが、それはまた別の話ということで。