WAI-ARIA Authoring Practices 1.1のBreadcrumb Exampleについて思うこと
著
パンくずナビと呼ばれる存在については、過去にも何度か覚え書きしてきました。古いものから時系列に沿って並べるとこんな感じ(改めて調べてみると意外に書いている):
- 第1回「アクセシビリティBAR(仮称)」初夏のパンくず祭
- パンくずナビとマイクロデータ
- パンくずナビゲーションにまつわる議論、再び
- パンくずナビのマークアップ
- パンくずナビゲーションのマークアップ再考
- BreadcrumbListの実装
でまぁ最近になってふとBreadcrumb Example | WAI-ARIA Authoring Practices 1.1を目にする機会がありました。このナビゲーションに対しnavとかol/li要素を使うことの是非については敢えてスルーするとして、不可解な点が2つあります。
<nav aria-label="Breadcrumb" class="breadcrumb">
<ol>
<li>
<a href="../../">
WAI-ARIA Authoring Practices 1.1
</a>
</li>
<li>
<a href="../../#aria_ex">
Design Patterns
</a>
</li>
<li>
<a href="../../#breadcrumb">
Breadcrumb Pattern
</a>
</li>
<li>
<a href="./index.html" aria-current="page">
Breadcrumb Example
</a>
</li>
</ol>
</nav>
1つ目は、現在地を示す項目において自身に対しリンクを設けていること。その種のリンクは意味がないし、むしろユーザーに混乱を招きかねないので避けるべき、と昔から考えています。昨年12月のNielsen Norman Groupの記事、Breadcrumbs: 11 Design Guidelines for Desktop and MobileでもIn the breadcrumb trail, the breadcrumb corresponding to the current page should not be a link.
と明記されています。にも関わらず、なぜ自身へのリンクを提供しているのか、謎です。
2つ目は、aria-label="Breadcrumb"
。Provides a label that describes the type of navigation provided in the nav element.
とあるけれど、Webデザインに関する知識を持つ一部のユーザーにしか理解されないのではないか?と。「パンくず」ないし「パンくずナビ」というのは、果たして一般ユーザーが理解できるほどに市民権を得ている言葉なのでしょうか? 自分にはそうは思えません。「グローバルナビゲーション」や「ローカルナビゲーション」もそうですけど、まだまだ業界用語の域を出ていないのではないでしょうか。
W3C/WAIに意見するかどうかは、もう少し考えてからにしますが、取り急ぎもやもやを吐き出しておきました。