空飛ぶ山岳救助隊 ヘリ・レスキューに命を懸けた男、篠原秋彦
著
『穂高小屋番レスキュー日記』で言及されていた、日本におけるヘリコプターレスキューの第一人者、故・篠原秋彦氏の伝記のような書籍『空飛ぶ山岳救助隊 ヘリ・レスキューに命を懸けた男、篠原秋彦』を読みました。
享年五十四。篠原氏がレスキューに出動した現場はおよそ一七〇〇件、命を救った登山者は一〇〇〇人以上を数えるという。
本当に、惜しい人を失ってしまったものです......本書を読んで初めて知ったのですけど、東邦航空は篠原氏の亡き後、ヘリコプターレスキューから手を引いてしまったのですね。
その後、何度か事故が続いたこともあって、東邦航空は山岳遭難救助の表舞台から事実上、姿を消している。代わって、県警ヘリや防災ヘリなどが救助活動の多くを担うようになっていった。
そういえば前穂〜奥穂〜北穂 縦走 2017秋で岳沢小屋にいたとき比較的間近に目にした救助活動(このとき収容された方がお亡くなりになったことは後になって知りました)は、長野県警のヘリでした。篠原氏の遺志は、姿形を変えながらも山岳救助の現場には根付いていると、信じたいものです。本書では、さまざまなエピソードを通じて氏の人となり、山小屋への荷揚げ業務やヘリコプターレスキューの実際が詳細に綴られているのですけど、中でも興味深かったのが
上手なパイロットと下手なパイロットでは、同じ機体で同じ重量の荷物を運んでくるのに、倍以上時間が違う。
というくだりね。それだけ差がつきやすい、特殊な(=難易度の高い)空域を飛ばさなければならない仕事なのだということを、改めて思い知らされました。本書でちょっと残念だなと思ったのが、何箇所か、決まって「噛」という漢字が文字化けしていたこと(例えば「?みしめて」といった具合)。原因がどこにあるのかわからないけれど、少なくとも何かしらのチェックで抜け漏れてしまっているのではないかと。