Re: 自己管理
著
昨年末、国際宇宙ステーション(ISS)への旅立ちを現地バイコヌールでお見送りした金井宇宙飛行士が、地上に帰還されて久しい。そしてしばらく前から、Blogへの投稿を再開してくださっているのは、個人的にはとてもありがたいこと。少し前に書かれた自己管理という記事には、いろいろ考えさせられました。
自分も含めてですが、完璧主義だったり、とにかく努力を重ねて物事を進めようという気質の人が多いですから、ともすれば頑張り過ぎて体調を崩したり、慢性的な疲労で本来の能力が発揮できない状態に陥ったりする可能性があります。
昔の自分は、割と完璧主義っぽいところがあったように思います。しばらく前からその負の側面に気づいて、敢えて完璧を目指さないようにしてたりするんですけど、それはそれで難しいことのように思います。完璧を目指さないのと「適当に」やるのとでは、もちろん結果から何から異なるんですけど、どうも後者に自分の言動が向かってしまいがちで。
日ごろどんなに鍛えていても、自然環境は過酷で、何もかもが自分の思い通りにいくことは、まずありません。体力的にも精神的にも辛い状況で、どうやって仲間と協力しあって行動するのは、自分の弱さを直視するまたとない機会です。
集団行動ではなくあくまで自分ひとりの単位でですが、たまに山歩き、特に険しい岩稜歩きに出向くのは、上記のような目的も(半ば無意識のうちに)あったように思います。天候をはじめ、自分にはコントロールできないさまざまな要素に囲まれながら、いかにして安全に帰宅するか......そのための分析力、判断力を試すのに岩稜歩きは本当にもってこいで、それはつまり自分の弱さを見つめることでもあるかなと。
国際宇宙ステーションのミッション中に船外活動を行う機会がありましたが、最後は体力が尽きて、自分から「船外活動を終えて、宇宙ステーションに戻ろう」と提案させてもらいました。「船外活動の最中に、自分からもう無理だと言うなんて前代未聞だ」とびっくりされましたが、それ以上、無理をして作業を続けるとミスや事故の可能性が高くなると判断したためです。
ISS滞在中の金井さん関連のニュースは割と意識して収集していたつもりでしたが、これは自分は初耳でした。まさか、ご自身の体力的な理由から船外活動の継続をギブアップされていたとは......それを正直に提案した勇気と、そしてまたその事実をブログ記事で明らかにされた率直さに敬服します。ギブアップの背景には、いかに船外活動が体力的に過酷なものであったかのみならず、そういう提案をできるだけの分析力、判断力、そしてまたそれらを身につけた地上でのトレーニングがあったのでしょうね。