人力飛行機Daedalusが世界記録を樹立して30周年
著
その姿をいつ、どこで目にしたのが最初だったか、今となっては定かではない。大抵の「一目惚れ」なんて、得てしてそんなもの。しかし大学に入って人力飛行機なんかに関わらなければ、その存在を終ぞ知ること無く一生を終えたかもしれないし、むしろその可能性は高い。そうであればこそ、単なる偶然などではなく、運命に導かれ出会ったとでも信じたくなるほどに、今に到るまで自分を魅了してやまない、一機の人力飛行機があります。ちょうど30年前にギリシャ神話を再現すべくクレタ島からサントリーニ島までを飛行した、Daedalusがそれです。
サークルの先輩がDaedalusの空力設計者だったMark Drela氏とメールでやり取りをしたことに端を発してミーハー心が一層焚きつけられてしまい、少しでもDaedalusのことを知ろうと図書館やWebで情報を漁った日々。The Light StuffはVHSで何度見返したかわからない。そして大学4年生の夏にはついにボストンのMITにDrela氏を訪ね、当時まだMuseum of Scienceに展示されていたバックアップ機と感動の対面。以来2004年、2007年、2009年に同じボストンで、2010年と2012年にはワシントンD.C.のダレス国際空港で、まったく同じ機体を見つめてきました。おかげで、自分のFlickrで「Daedalus」を検索すると64枚も画像がヒットします。Flickrにアップしてないのも数えたら、倍以上の数の画像がHDDで眠っているのではないか。いやはや好きすぎでしょ......乙女か。いや乙女座だけど。
Thirty years since the longest human-powered flight in historyを読んで、ついうっかりこんな駄文をしたためたくなった次第です。遅まきながらDaedalusプロジェクトに関わられた全ての人々に、感謝と敬意を。30周年おめでとうございました。それにしても、色々な意味で野心的すぎたRAVEN Projectはさておき、Team AeroscepsyにはDaedalusの打ち立てた記録を凌駕するポテンシャルが十分あったにも関わらず、結局30年ものあいだ世界記録更新がなされなかったという事実......いちDaedalusファン、いち人力飛行機ファンとして、どう咀嚼すれば良いものか。