人力飛行機「Zephyrus β」
著
金沢日帰り小旅行の補足エントリ。石川県立航空プラザで、以前から見たいと思っていた人力飛行機「Zephyrus β」をようやく見学できました。撮影した写真は、Kanazawa 2013 - a set on Flickrに何枚かまとめてあります。以下、展示パネルより抜粋:
天井に展示している機体は、平成9年(1997)11月16日 1,004メートルの公式飛行記録を樹立した人力飛行機「ゼフィルス・ベータ」号です。パイロットは、お茶の水女子大学の学生、村岡ちひろさん(19歳)で、女性パイロットによる国内での最長飛行距離の記録を更新しました。
人力飛行機は、ペダルを踏んでプロペラを回転させ人力だけで空中に浮上する航空機です。操縦は、ハンドルが前後、左右に動くようになっていて、水平尾翼と垂直尾翼の二蛇を動かすことで行っています。人力飛行機は大学の工学部など限られた団体のプロジェクトチームによって研究が行われていますが、一般には馴染みが薄いとあって大変珍しい機体です。
展示パネルに掲示されていた情報によれば全幅28.0m、全長7.0m、全高3.6m。自重30.5kg、全備重量73.0kg、速度は6.5m/秒。最終公式記録は飛行距離1,004.252m、滞空時間は3分3秒。ほかにも展示パネルには、お茶の水人力飛行機研究会 日本記録更新プロジェクトメンバー17名の氏名も記載されており、大変懐かしい名前も散見されました。というのも、メンバーの多くは自分が所属していた早稲田大学宇宙航空研究会(WASA)鳥人間プロジェクトにおける二つ下の代の後輩(というラベルで呼ぶのが適切とは言い難い微妙な経緯があるのですけど)だったからです。18年も昔のことなので、詳細は記憶にないのですが、僕が1995年の夏に二度目の挑戦で鳥人間コンテストに出場し終えてからほどなく、一部の後輩がWASAを辞め、お茶の水女子大学で全く新規に人力飛行機サークルを立ち上げたのです。
当時は「分裂」という言葉で表現していたけれど、今振り返ってもそう表現せざるを得ない状況だったと思います。その分裂に至る経緯には、少なからず僕自身の言動の影響もあったはずで、やや複雑な想いが今でもあります。しかし、大小さまざまに発生したであろう困難を乗り越え、短期間のうちに日本記録更新という目標を達成したのは間違いなく偉業だったと思いますし、その機体が今なお見学可能な状態で保管・公開されているというのは、実に素晴らしいことだと思いました。誤解のないよう書き添えておきますが、この記事に先輩風を吹かせるような意図は微塵もありません。先に書いたように、「Zephyrus β」をつくったメンバーと僕の間で先輩/後輩なんてラベルで呼び合える関係性が作れていたかと言えば微妙だと思うし、そもそも彼らの偉業は彼らだけのものであって、僕個人とは無関係ですから。