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ISSの未来に「きぼう」はあるの?

松浦さんがnikkeibp.jpにお書きになった記事「『さらに縮小、見えなくなった有用性』、NASAが国際宇宙ステーション計画見直し」を読んで。つい先日、某日本人宇宙飛行士のご家族とつくばでお会いしたばかりということもあって、この手の記事を読むと正直辛いというか、胸が痛みます。もちろんご家族やご本人は、昨今のISSを取り巻く事情を(記事が紹介しているよりも)ずっと正確に把握なさっているでしょうし、こういった報道に対する耐性みたいなものも、出来上がっているとは思うのですけど。
ひとつ疑問に思ったのは、政府間協定の信頼度。記事はISSは政府間協定という「国と国との約束」に基づいた計画なので、今後とも米国は「最小限の国際的責任」を果たす努力を続けると予測していますが、それが一体どれだけの信頼性を持って世界が認知しているか、(悲観的に考えるならば)甚だ疑問です。もしISSは、今や米国以下、どの国も手を引きたがっているが、政府間協定に縛られてどの国も退くことができない泥沼と化しているというのが正確な理解と描写であるならばなおのこと、全会一致で反故にすることだって簡単に出来てしまうのではないか?と。「どの国も」という表現の中に日本が、JAXAが含まれているとはあまり思いたくないのですが。
そして第二の疑問は、末尾の日本も、ISS計画瓦解を想定した緊急時のための宇宙計画を用意すべきだが、今のところ表だった動きは始まっていないとのくだり。もし本当にそうだとしたら、JAXA(いや、むしろその上位組織である宇宙開発委員会、あるいは文部科学省か?)は相当に「おめでたい」なぁと思うのです。ISS計画においてはNASAの言いなりに従わざるを得ない事柄が多分に存在しているのが現実とはいえ、その裏には当然日本独自の国家的戦略があって然るべきで、またその戦略は考え得るあらゆるシナリオを想定し定期的に見直しが図られるべきでしょう。どのようにNASAおよび世界情勢が変化しようとも、起こり得る混乱を乗り切り、最低限の国益を確保するよう柔軟に方針転換ができないようでは、日本にとってのISS計画は本当にお先真っ暗で、「きぼう」がもてません。個人的にはコロンビア号の事故が起きてしまった時点で、そういった方針転換に向けた検討が少なくとも「水面下では」始められていると信じたいです。

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