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Webサイトをあらゆるデバイスに対応させるにはアクセシビリティを確保するしかない

釣りっぽい見出しで言いたいことは言い切ってしまっているけど、繰り返します。Webサイトをあらゆるデバイスに対応させるには、アクセシビリティを確保するしかない。別の言い方をするなら、ビジュアルデザインがレスポンシブに設計・実装されていようといまいと、アクセシビリティを確保していないWebサイトは、マルチデバイスに対応しているとは言えない。自分はそう考えています。1ヶ月ほど前に、スマートフォンの次に来るものという記事で中島聡氏は次のように書きました:

人類が誕生して以来、人々は何万年もの間、歩く時は常にまっすぐ前を見て生活して来た。ところが、スマートフォン(もしくはiモードケータイ)の登場以来、スマートフォンの画面を見て過ごす時間が長くなってしまった。その分、自分の身の回りに注意を払わなくなり、ある意味「外界とのインターフェイスを遮断」した状態で暮らす時間が長くなってしまった。「常時接続ライフスタイル」の副作用である。

その意味でも、私は「スマートフォンの次に来るもの」は「外界とのインターフェイスを遮断せずに常時接続ライフスタイル」を満喫出来るようなものであるべきだと私は思っている。

自分も同感で、攻殻機動隊で描かれたような、脳を直接ネットワークに接続する時代に一足飛びに移行することはないにせよ、Webにアクセスするためのインターフェイスは、身体機能の一部に近しい存在へと進化して行く(最終的には身体の一部に取り込まれる)と思っています。Google Glassというデバイスの登場は、そうした流れの端緒に過ぎない。そうなればWeb上のコンテンツには、何よりもまずアクセシブルかどうかが問われるはずであり、従来のようなスクリーンの存在を前提としたビジュアルデザインの必要性は残るにせよ、マークアップの善し悪しが一層重要になると思います。

Webアクセシビリティへの取り組みが今ひとつ定着していない(どころか年々下火になっているようにすら映る)のは、アクセシブルにコンテンツを実装しなくとも、それで困る人が困らない人に比べ圧倒的に少ないかのように誤解されているからだと思います(実際にはそんなことは無いわけで)。しかし、Google Glassのような、従来型のスクリーンをもたないデバイスが広く使われるようになるとしたら、どうか。Webへのアクセス手段がモバイルデバイスに移行し始め「モバイルファースト」みたいなスローガンが生まれたけれど、それどころの話ではなくなるでしょう。「アクセシビリティファースト」で作られていなければ、誰もそのWebサイトを使わなくなる。そんな時代が、遠からず到来するかもしれません。

昨日の午後、Webアクセシビリティの先駆者の一人、Cynthia Waddellさんの訃報に接しました。Cynthiaさんとは一度だけ、2008年のCSUNに参加した際にお会いしたのですが(CSUN2日目参照)、温和な笑顔が印象的なお方でした。その後、2011年12月にM-Enabling Summitに参加した折、彼女の姿を会場で見かけたのですが、そのときは声をかけられず......大変残念です。でまぁ、久しぶりにWebアクセシビリティについて書きたくなって、だいぶ煽り気味&釣り気味ではあるけれど、この記事を書きました。Cynthiaさんのご冥福を心からお祈りします。

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