人はどう老いるのか
先に読んだ『人はどう死ぬのか』が割と良かったので、同じ著者でタイトルの酷似した(二匹目のドジョウを狙った!?)『人はどう老いるのか』も買って読みました。やはりというか、『人はどう死ぬのか』の二番煎じっぽさは否めませんでしたが、主張は一貫されています。
上手に老いて穏やかにすごしている人は、ある種の達観を抱いています。決していつまでも元気を目指して頑張っている人ではありません。
達観、ですか......それはもしかして諦観では? と思わなくもないけれど。年相応の衰えについては、嘆き悲しむより認め受け入れたほうが、そりゃストレスも少ないしラクですわな。
自らの老い、苦痛、不如意を泰然と受け入れ、栄誉や利得を捨て、怒らず、威張らず、自慢せず、若者に道を譲り、己の運命に逆らわない心の余裕を持つことです。
うーん、まるで老害にならないためのTipsがぜんぶ盛り込まれたような一文。大事なのはたぶん最後のところで、己の運命として受け入れることができるかどうかですね。すべては導かれている、と思えるかどうかかな。
医療や医学も必ずしも万能ではないし、当てにしすぎると裏切られることもあるということを、忘れないほうがいい
確かに世の風潮として、あらゆる医療や医学(ニセモノを除く)は須く肯定されるべき、みたいな圧の存在を感じます。命を救うことのできる尊い側面と同時にビジネス、金儲けの手段という側面も併せ持つことは、忘れたくない。
いったん死が避けられない状況になったら、よけいな医療はせずに、自然に任せるのがもっとも穏やかな最期を迎えられます。
似たようなこと、『人はどう死ぬのか』でも読みましたね。ここで難しいなと思うのは、よけいな医療とそうでない医療の区別、どこで線を引くかってあたりで、胃ろうなんかは判断しやすい部類とは思うのですけど、きっと難しい判断を迫られる場合があるだろうなと。
死に関して、最近おもしろい本を読みました。田坂広志氏著の『死は存在しない』(光文社新書)です。
まさか、本書で田坂先生の名前を目にすることになろうとは、セレンディピティー!!私も『死は存在しない』は読みましたとも。
適当なところで死ぬ。これがもっとも楽で賢明で、当人にも家族にも社会にも有益なはずですが、死を肯定するような意見はとかく人気がありません。
当人にも家族にも社会にも......三方良しですか笑。いずれにしても、死も老いも絶対に避けられないのだから、悪あがきはしないことですね。そういう潔さ、一種の美学を、徐々にでも身に付けていきたい。