言いにくいことが言えるようになる伝え方
著
少し前に『夫婦・カップルのためのアサーション』について覚え書きしたけれど、その著者である野末武義氏が大学院時代から師事したという、平木典子氏の著作に興味が湧いて読んだのが『言いにくいことが言えるようになる伝え方 自分も相手も大切にするアサーション』。本書で、アサーションに対する理解をさらに深めることができました。
自分もがまんしない、相手にもがまんさせない。そのためにはどうすればいいのかを考えながら、自分の思っていることをともかく言ってみる。これがアサーション、お互いを大切にするコミュニケーションの基本なのです。
仕事に関連して障害者差別解消法について読んだり考えることが少なくないのですが、その文脈でよく目にする「建設的対話」というのに、まさに上記のようなコミュニケーションが該当するように思いました。どちらか一方ではなく双方を大切にし、重んじるという姿勢、大事ですね。しかし同時に
アサーションはウィン・ウィンとは本質的に異なります。まず、アサーションでは、「ウィン・ルーズ」(勝ち負け)といった考え方をしないからです。
というのも、同じくらい大事な論点だったかと。勝ち負けの問題として捉えてしまうと、アサーションの本質から外れてしまうということ。曰く、勝つことを考えると相手より課題をどうするかを優先しがちらしい。ディベートとも違いますから、勝負のような感覚を無意識に持ち込まないようにしないと。
怒りの感情は誰かによって起こされるものではなく、何かをきっかけに本人が起こすものですから、怒ったことについては、その人自身に責任があります。
これも日頃から意識したいポイント。怒りに限らず、感情全般に言えること、ですかね。その前提において、感情がエゴそのものと捉えるならば、怒りの感情を鎮めるには、他者ではなく自身をこそしっかり見つめなければならないということなのでしょう。
嫉妬で苦しまないためには、「自分より勝っている相手が羨ましい。いいな。自分もそうなりたいな」と、感じたことを正直に表現することです。自分がどうの、相手がどうの、周りがどうの、という懸念や思い込みは捨てましょう。
羨ましい
と書かれてはいるものの上記のくだり、Mission WEというまったく別の記事のなかで触れた、大愚和尚の「羨みではなく、憧れを持ちなさい」という言葉に通ずるような。どこまでストレートに表現できるようになるかわからないけれど、習慣化することでしか身につかないと思うので......頑張って、憧れを表現するようにしたい。
いろんな人々に出会い、かかわることで、自分の特徴、できることできないことなどが見えてきます。そして、それは欠点というより、違いでしかないこともある。「違い」は「間違い」ではありません。
末尾の「違い」は「間違い」ではありません
という言葉に、大いに励まされる思いがします。憧れより羨みや妬みを抱きがちであるうちは、違いを欠点と間違えやすい傾向にあるとも思っており、両者は何かしら繋がっているのでしょうね。