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第17回宇宙ユニットシンポジウム

第17回宇宙ユニットシンポジウム@京都大学

第17回宇宙ユニットシンポジウムの2日目に参加しました。今年のテーマは「人類、火星に向かう」......過去のテーマと比べ随分と現実的、意地悪な言い方をすれば時間的にも空間的にもスケールが小さくなってしまったなぁと思い、当初は現地での参加を躊躇したほどですけど、オンライン配信が無いとのことで、致し方なく京都大学まで馳せ参じました笑。

倉本氏の講演は、基本的に火星衛星探査計画MMXの紹介。直近の打上げ延期の報には接していたものの、あまり追っかけていなかったものですから、SLIMの技術を使って着陸するといった点は勉強になりました。ミニローバーを積んでいたのも意外。そして、フォボスの表面の砂の0.1%が火星由来であり、その意味では火星に存在したかもしれない生物の遺骸を取得できるかも......というくだりは萌えました。

フライトサージャンの速水氏の講演は、Moon to Marsプログラムにおける健康リスク、が中心だったかしら。リスクは確か宇宙放射線、隔離、遠隔、重力環境の変化、閉鎖環境に大別してお話されていました。なかでも気になったのは視力が落ちる(視野が狭まる?)リスクかな......宇宙飛行関連神経眼球症候群、SANS(Spaceflight-Associated Neuro-ocular Syndrome)と呼ばれているらしい。

岡本氏の講演は、宇宙倫理学に興味を抱いてきた身としては、御三方のなかで最も楽しく拝聴しました。テーマは、技術的に可能と判明した場合、火星のテラフォーミングを正当化できるかを倫理的観点から考察するというもの。しかしガンダムに詳しかったなあ......火星が出てくるAGEや鉄血に言及されたあたり、さすがとしか言いようがありません笑。帰結主義、義務論、徳倫理学という3つのフレームワークはいずれ使いこなせるようになりたーい。

パネルディスカッションでは、まずMMXに関してなぜフォボス?→金がないから!少ない予算で気が利いたことをやらないといけない......というお話が出て、いやー本音だなーとか思いました。文化的背景の違いを超えたところで共通の倫理的判断は可能なのか、は興味深い論点。あと、速水氏がフライトサージャンを地味な仕事と評されていたのは気になりました。何やら、もっと派手な仕事だと思って入ってきたひとが辞めていくらしい笑。

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