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剱の守人 富山県警察山岳警備隊

前から気になっていた『剱の守人 富山県警察山岳警備隊』を読了。阿曽原温泉小屋の泉さんも登場し、ご自身も宣伝してらした本です(「剱の守人」が発売されます - 阿曽原温泉小屋参照)。昨年まで7年連続で毎年剱岳に登ってきた程度に剱岳が好きな、そして阿曽原温泉小屋には過去12回お世話になってきた自分としては、読まないわけにはいきますまい。

県名のとおり「山に富んだ」地である。警備隊の活動範囲はこの富山県の山岳地帯、全域に及ぶ。

これ読んでハッとしました。もう何度となく富山に足を運んでいるのに、「富山」という言葉の意味するところをちゃんと考えたことがなかったなあって。反省!!

救助された人の救命率の向上はもちろん、命に別状がない場合でも早期に社会復帰ができるよう「後遺症なき山岳救助」をめざしている

「後遺症なき山岳救助」、素晴らしいですね......かつて私は下ノ廊下で転倒、左腕を骨折し警察のお世話になってしまった苦い記憶がありますが(黒部峡谷・下ノ廊下ツアー 2019参照)、おかげさまで今はもう何ともない(後遺症はない)です。

命は一人のものではないですよね。家族や友人をはじめ、人生で出会った多くの人、未来に出会うはずの人、たくさんの人々に関わっています。

上記は飛弾氏の発言。家族、友人、過去に出会った人......までは認識していたけれど、なるほど「未来に出会うはずの人」かぁ!!正直、その発想はありませんでした。感服です。

私たちは山岳を取り巻く、大きくて温かい安全のネットワークに、意識しないうちに守られ、その環境で登山を楽しむことができている。

本書を読めば、その事実は明確に意識できますし、ネットワークの維持に携わっていらっしゃる全ての方々に向け改めて感謝の念がふつふつと湧いてくるのですけど、同時に意識しないでいることの良し悪し、そのバランスの難しさを考えずにはいられません。

ネットワークの存在を過度に見える化すれば、それに甘え・依存する登山者も一定数、きっと出てきてしまう。そもそも積極的に見える化するということは、湯浅氏の言葉山の主役は登山者たち。だから、僕らは目立たなくていいんですという願いに反することにもなる。

そのいっぽうで、泉さんの山に登る人たちも忘れないでほしいな。全国から来る登山者を、地元の警察官が守っていて、安全、安心に登山ができるってことをという願いもまた、切実なものであることは理解できて。これ、登山道の整備などにも通じる課題ですかね。

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