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2023年の超私的デジタルアクセシビリティ関連10大ニュース

アクセシビリティ Advent Calendar 2023の24日目の記事です。昨年に倣い、超個人的な2023年のデジタルアクセシビリティ関連ニュース10選をお届けしたいと思います。記載は順不同であり、時系列に沿っているわけでも、インパクトの大きさ順に並べているわけでもありませんから、悪しからず。

WCAG 2.2が勧告

たびたびスケジュールが後ろ倒しになり、もはや2023年中の完成も不可能では......とか思った時期もありましたけど、WCAG 2.2が10月5日付で勧告。目下、後継バージョンが作られる予定はなく、AG WGとしては今後WCAG 3.0に注力するらしいので、最終形となったWCAG2をどう活用するかに安心して?フォーカスできますね。関係者の皆様お疲れさまでした。

EPUB Accessibility 1.1が勧告

電子書籍に関連して今年、EPUB 3.3が勧告されています。また時を同じくして、EPUB Accessibility 1.1が勧告されました。今後、果たしてISO/IEC 23761は更新されるのか、またその暁にはJIS X 23761が更新されるのかについて、私は状況を存じ上げませんけど......電子書籍のアクセシビリティ、なかなかな解像度を上げて現状を把握できていません(来年はがんばりたい)。

GAADに合わせてアクセシビリティのラップが登場

数年前から5月の第3木曜日はGlobal Accessibility Awareness Day、いわゆるGAADと呼ばれていますが、今年のGAADを記念してラップ音楽(Accessibility Daze - Director's cut)が公開され、驚きました。私が認識する限り、アクセシビリティを題材とした楽曲が公に披露されるのは久しぶりのことで、そろそろ澤田さんからも新曲の発表が待たれます

Steven Faulkner氏がTetraLogicalに転職

Webアクセシビリティ界隈で、その名を知らない人はいないであろう(と私が勝手に思っている)Steven Faulkner氏が、11月1日付でTetraLogicalに参加。すでにLéonie Watson氏やHenny Swan氏といった有名人?が在籍しているだけに、私のなかでTetraLogicalのつよつよ感が増したというか、先々Ian Lloyd氏まで去ることになったらTPGiどうなっちゃうんだろう感(謎

Molly Holzschlag氏が逝去

Web標準やWebアクセシビリティの普及や啓発に長年取り組まれ、30冊以上もの書籍を執筆するなど業界の発展に貢献されたMollyが、9月にお亡くなりになりました。まだ60歳でした......合掌。Mollyをご存知ない方は、ぜひ勤務先で寄稿したコラムの追悼 Molly Holzschlag氏とか、Mollyを偲んでという覚え書きを読んでいただきたい。まぁしかし自分も今年で50歳を迎え、いつどうなることやら。

WebAIM Millionの調査結果に大きな変化なし

100万サイトのトップページのアクセシビリティ評価を行うWebAIM Million、5年連続で5回目となった今年の調査では、96.3%のサイトにおいてWCAG2への不適合が機械的に検知されたそうで。改善がみられた部分もあれど、過去の調査と比べ結果に大きな変化はなかった認識でおり、まだまだ取り組みが足らないなーと。頑張っていきましょう。

KoenaがFACIl'itiに敗訴?

アクセシビリティオーバーレイ ベンダーのFACIl'itiがKoenaを相手取って起こした訴訟で、11月27日に判決が。26,256ユーロの支払い、ならびに2件のツイートの削除が命ぜられています。個人的にスラップ訴訟ではないかと思っていただけに、衝撃っていうか残念......少額ですが、控訴のための費用を募るクラウドファンディングで支援しました。引き続き、今後の成り行きをウォッチしたい所存です。

気になるCalifornia AB 1757策定の動き

アクセシビリティの法制化動向で今年、気になったのが米国カリフォルニア州の州法、AB 1757。最終的に内容が固まったわけではないと認識していますが、Webサイトのアクセシビリティに関し制作を請け負った先の責任を認めようとしている点で注目しています(Thoughts on California AB 1757 - Converge AccessibilityCalifornia AB 1757 is (currently) unfit for duty - Karl Groves参照)。この法案の今後も引き続き、2024年はウォッチしていきたい。

APGに支援技術のサポート状況が掲載

ARIA Authoring Practices Guide、いわゆるAPGで支援技術のサポート状況が掲載され始めた件。日本語記事としては土屋さんのBlog記事が詳しいですが、WAI-ARIAのCan I useってわけじゃないぞって記事と合わせて読むと理解が深まるかも。とはいえ「サポート」って単語は地味に曲者というか、Baselineに対する意見(Baseline Does Not Really Cover Baseline Support -- Adrian Roselli)もそうですけど、なかなか「サポート」を取り扱うのって難しいなって(謎

アクセシビリティ Advent Calendarが10周年

最後のオチがそれかよ、というツッコミは甘受します。いやでも10年続くって、すごくないですか。過去に偉大な? マンネリなんて表現しましたが(我ながら酷い)、往々にして量は質に転化するわけで、真にマンネリであっても続ける意義や価値はある、と私は思います。そもそもアドベントカレンダー自体が偉大なマンネリだと思っていますが......10周年を迎えてなお、25日すべての枠が埋まっていて、なおかつ昨日まで1日も欠かさず投稿されているって素敵。参加者の皆さん、お疲れさまです&ありがとうございます。10年前に初回を作成した立場から、御礼申し上げます。

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