エベレスト街道トレッキングを終えての雑感
著
帰国する数日前から、(ほかの参加者の方々と同様に)埃や乾燥に喉をやられ咳が止まらなくなったり、帰国後には長旅の疲れから朝晩を中心に37度台後半まで熱が上がったりで、覚え書きするのが遅くなりました。11月17日から12月5日までの19日間、西遊旅行の主催するツアー「エベレスト大展望 カラパタール登頂とエベレストB.C.トレッキング」に参加してきました。
エベレスト街道に憧れ、実際に歩きに行くことを決心してから紆余曲折ありましたけど、現地で高山病に罹ったり怪我をすることなく、無事にカラパタール登頂&エベレスト・ベースキャンプ訪問を果たして帰ってこれたことを、嬉しく思っています。異国の地で歩き・食べ・寝ることだけに2週間近くも専念できたのは正に夢のようで、達成感が半端なく、いまだに心が少しフワフワしていたりします。
ツアーでご一緒した皆さんには、とにかく感謝しかありません。特に西遊ネパールの皆さんのホスピタリティとプロ意識には感銘を受けましたし、日本から同行くださった添乗員の方の言動からも、リーダーシップの面で学ぶところがありました。そしてまた、この長旅を受け入れてくれた家族や同僚の皆さんにも、感謝しています。おかげで素晴らしい山行が実現できました、ありがとうございました。ツアー中のできごとについては、記憶が少しでも鮮明なうちに、今年中に日単位で覚え書きしておこうと思っていますが、取り急ぎ雑感をまとめておきます:
- 初めて生で見たエベレストの姿には、標高5,545mのカラパタールに登ってなお遠く、高く、大きく、そして黒くて......強烈な印象を受けました。自分もエベレストに登りたい、とまではさすがに思わなかったけれど、少なくとも過去に登った人々への尊敬の念は、強くしました。
- 普段ソロでしか歩いていないだけに、初めての団体ツアーでの山歩きでストレスを溜め込んだりしないか不安でしたが、杞憂でした。むしろ、団体ツアーであるがゆえに、非常にゆっくりと歩かざるをえなかったことが、高山病に罹らずに済んだ要因の1つだと思います。
- ルクラで過ごした最後の夜、ネパール人の(西遊ネパールにお勤めの)現地ガイドの方から「キダチさんなら6,000m、7,000m、8,000m峰に登れますよ」と言われた(褒められた?)のが、忘れられません。もちろんそれはお世辞だったり、営業トークという側面もあったかもしれないけれど。すごく驚かされたし、ありがたいとも思ったし、また自信が湧きました。
- これまでの人生において、高い山に登る願望を抱いてこなかったというより、そもそも自分には無理だって無意識に諦めていた気がするんですね。だけれど、少なくとも5,545mまで上がれたのは事実だし、歩き方や食欲など細やかに人を観察されていた現地ガイドの方から、もっと高くまで上がれると言ってもらえたことで、ちょっと意識が変わりました。
- 挑戦すること自体、無意識に諦めていたとすれば、それは(心の師と勝手に仰いでいる)田坂広志先生がよくおっしゃっる「自己限定」をしていたことになります。自分は所詮ここまで、などと線を引き可能性を否定するのは、避けるべきこと。無意識に自己限定をしていないか、山に限らず総点検が必要。
- 美しい景色に直に触れたいというのを含め、私が山を歩く目的はさまざまあれど、今回の山行ではっきりしたのは、自分を変えたいという動機も確かにあったなと。だから今回も、エベレスト街道を歩き通したその経験を糧に、これから先の自分をどれだけ変えられるかが大事だと思うし、同時にその変化を楽しみたいとも思っています。