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ディープ・スキル

Deep Skill ディープ・スキル——組織と人を巧みに動かす 深くてさりげない「21の技術」』を読みました。確か、ブックファースト店頭で平積みにされてたのを立ち読みしたら面白そうだったから、買った本です。副題に組織と人を巧みに動かすなんてあると後ろめたさとか、浅ましさのようなものを感じてしまうけど、内容は至極真っ当な自己啓発書。

「人間心理」と「組織力学」に対する深い洞察力。そして、その洞察に基づいた的確な行動力。この2つの能力を兼ね備え、人と組織を巧みに動かす「実行力」を身につけたときに、はじめて「仕事ができる人」という評価を勝ち取ることができる

「仕事ができる人」という評価の獲得を目指して仕事を頑張ってきた、つもりは正直あまりないけれど、しかし仕事をしてるうち好むと好まざるとにかかわらず、人と組織を巧みに動かす必要に迫られることはあって。今は理解できるものの、若い頃は人間心理や組織力学を理解することの重要性なんて、わからなかったなあ。

「正論」は、正しいからこそ怖い。「自分は正しい」と思うからこそ、一方的に相手を責めるスタンスに立ちやすい。

SNSで観測されがちな一種の正義中毒、仕事の現場でも発症しがちなので、気をつけなければならない。その危うさに気づけたのがいつ頃だったか、既に覚えてませんけど、とにかく気づけてよかったです。多くの正しさは絶対的ではなく相対的であり、自分が正しいと信ずるものもまた然り。人の数だけ正しさがあると思ったほうが良い。

「専門性」のパラドックスに陥らないためには、「専門性」を高める努力をする一方で、自分の「感情」を大切にし、さまざまな属性の人々と「感情」を通わせる経験を積むことが大切

これもねえ、今でこそウンウン頷いて読めるけれど、若い頃の絵に描いたような専門馬鹿だったときって(今もそうである可能性は否めない笑)、対人関係を疎かにしがちだったというか。それもまた正義中毒の裏返しだったりしたかもしれせんが。フォーカスをモノやコトに当て過ぎると、カジュアルにヒトを忘れがちになってしまって。

事業環境の変化に応じて、あるいは社長交代などのイベントを経ることで、社内に吹く「風」はめまぐるしく変わっていく

「風」って表現が気に入りました。社会にも、組織の中でも、部署内でも、常に風が吹いていると思うと、興味深い。どの方角からどれだけの風が吹いているか感じ取れなければ、その風になびくにせよ抗うにせよ、うまく立ち居振舞うことはできないのだから。

対立関係にある両者がお互いに「譲歩」することで交渉がまとまるケースはほとんどなく、相手の利益・関心を引き出して、「共通の利害」を探り当てることこそが交渉を成功させる秘訣

「共通の利害」というのも、巧い表現ですね。それを見出さずして、並行する議論から抜け出すことはできないですからね。でもって、「共通の利害」をあらゆる関係性に見出そうとすることが、自分自身を生きやすくしてくれるかもしれない、なんてことを思いました。年齢的にも立場的にも、生きづらさをどんどん感じてしまう今日この頃だけに。

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