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50歳の壁

50歳の壁 誰にも言えない本音』を読了。買って読むまでまったく気づかなかったのだけど、昨年の夏に覚え書きしたTHE HOPE 50歳はどこへ消えた?——半径3メートルの幸福論』と同じ著者によるものだったのね。道理で既に読んだような話(半径3メートル云々)が出てくるわけだ。

ただでさえ四〇〜五〇代は「思秋期」と呼ばれる微妙なお年頃。

思秋期なんて言葉、初耳です。著者の造語ではなくて?と疑ってかかり軽くググったところ、岩崎宏美の歌ばかりヒットしてしまって、本当に40〜50代に対するラベルとして一般的か確証が持てていません。

結局、古戦場巡りっていうのは過去と決別し、自分を納得させるための儀式のようなものかもしれません。

かつての居場所、自分が活躍できたと思う場所を訪ねて回る行動を「古戦場巡り」って呼んでいるのですが、これは思い当たる節がありまくりました。なるほど、確かに懐かしさを味わえたけど、同時に「来るんじゃなかった」的な後悔も感じていたのは、過去と決別するためだったのか。

日本の中高年男性の友だちの少なさは、世界的に見ても突出していますが、問題の本質は「モヤモヤした気持ちを吐き出せる他者がいない」点にあります。

中高年男性が持つ「友だち」の多寡の信頼に足る調査結果なんてあるんでしょうかね。そもそも「友だち」の定義や解釈が国や地域ごとにだいぶ違ってそうで、比較できる気がしないのだけど。さらにはその「モヤモヤした気持ちを吐き出せる他者」が「友だち」とイコールで良いのか?という点も気になります。

孤独には、「自分で選択する孤独(ソリチュード)」と「寂しい孤独(ロンリネス)」があり、前者は自分との対話につながる、良い孤独です。

自ら選択するかどうかと、寂しいかどうかって次元の異なる話であるからして、自分との対話につながるかどうかという同じ軸で比較できるものではないのではないかしら......。孤独と孤立は違う、みたいな話は昔からよく読んできましたが。

私がこれまでインタビューしたビジネスパーソンの八割は男性です。しかし、二割の女性たちの声に耳を傾けるたびに、男性にかけている"もの"を感じてきました。それはいくつになっても衰えない「向上心」です。

ここも納得いかないなぁ。向上心の有無という点で性別に由来する有意差があるとは個人的には思えず、そうではないと断ずるのであれば、著者がインタビューしてきた集団がかなり特異という気がしてしまう。もちろん私も向上心は(程度はさておき)持ち続けているつもり。

卑しい生き方をしてきた人は悪代官顔になるし、慈悲深き生き方をしてきた人はやさしげで穏やかな顔になる。

食べたものが自分の身体、ひいては健康をつくるのに似て、まぁ確かにそういう部分はあるだろうなと思いつつ、いざ自分の顔つきはどう判断すれば良いのだろうとか考え始めると複雑......。

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