THE HOPE 50歳はどこへ消えた?
著
『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?——半径3メートルの幸福論』を読みました。どうせまた適当な(超失礼)自己啓発書の類だろうと期待して(そういう適当な本を読みたくて)買ってみたのだけど、章ごとにしっかり引用元、参考文献が列挙されており、ちょっと期待を裏切られたというか、かなりしっかりとした内容の本でした。
「私にとって生きにくい世の中だ」と慢性的に感じている状態は、人を"死"に向かわせることが最新の研究で確認されている。いわゆる「絶望死」だ。
コロナ禍にしろロシアのウクライナ侵攻にしろ、なんか最近はもう、生きにくいと感じる要素ばかりが目に付くような。うっかり死にたくならないためには、よほど意識的に日頃から自分のご機嫌取りを頑張らないといけない感じがしてしまうなあ、残念ながら。
私たちは案外気づいていないけれど、自分を知ることは、他人を知ることよりはるかに難しい。
昔からこれは気づいてるつもり、自分で自分がわからない。もっと言うと、他の誰かからの「お前はこうだ」という評価も正直、信じられないし受け入れ難い。きっと死ぬまで自分を知る、いや知った気になることすら無いのだろうと思って、生きています。
至極シンプルに言えば、「カネが欲しけりゃ、人格磨け!」ってこと。どんなに優れた技術や知識を持っていても、未熟な年配者は嫌われてしまうのだ。
その人格を磨くってのが、簡単に実践できるものなら誰も苦労はしてないはずなんですよね。それに、人間って結局、自らの未熟さに悩まされながら一生を終えていく(死ぬまで成熟したという実感を持てない)ものなのだろうという確信があるから、周囲から嫌われるのは必定な気がしてしまう笑。
人生の理不尽に向き合い、自分の思い通りには決してならない現実を知り、それでも頑張ってきた経験が、自己実現の土台を強固にするのだ。
上記のくだりが、本書のなかでは一番、ありがたい言葉でした。実に励まされます。自己実現云々はさておき、世の理不尽に耐えてなお抗うことが、まるで無駄だなんて思いたくありませんから。
関係性の中にこそ個人は存在する。唯一無二の「自立した個(自己)」などはなから幻想にすぎないのだ。複雑怪奇な現代社会を生き抜くために大切なのは、何事にも優先して周囲と「いい関係」を作ることだ。
......逆説的ですが、真理。肝に銘じなくては。