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打上げを失敗したことにしたがる記者

H3ロケットの打上げ中継は、仕事の合間にiPhoneで見ていたのですけど、既報のとおりの結果となり、残念でした(プレスリリース「H3ロケット試験機1号機による先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の 本日の打上げ中止について」参照)。もっとも、ロケット本体やペイロードが無事で、何よりではあります。

しかし衝撃だったのは、H3ロケット試験機1号機に関する記者会見における共同通信社の鎮目記者の言葉です(30:52から)。テキストではH3ロケット試験機1号機打ち上げ中止に関する記者会見 - ただいま村に書き起こしがあります。

鎮目:それを一般に失敗という。ありがとうございました

この捨て台詞......まったく、酷いとしか言いようがありません。既にTwitterで指摘されているように、先行して共同通信社はH3ロケット1号機、発射「失敗」 | 共同通信というニュースを発信しており(なぜ失敗の2文字を鉤括弧で括っているのかは謎)、鎮目記者はこれを何がなんでも誤報の扱いにしたくなかったのだろうと察します。

なぜ誤報を誤報と認め、粛々と訂正できないのか。記者会見の模様が丸ごとネットで配信されるこのご時世、たとえいち記者の言葉であっても、所属するメディアへの信用・信頼、品格、ブランドを著しく毀損し得る事実に、なぜ思い至らないのか。そもそも、打上げ中止となった真因がわからず心中いかばかりかという状況にも関わらず、記者会見を開き真摯に対応された岡田プロジェクトマネージャに対し、その態度は人としてどうなんでしょう?

......広報・PRを学び、また実践してきた身ではありますが、このような酷い記者と自分が対峙せざるを得ない場面を仮に想像すると、なかなか厳しいものがあります。果たして岡田氏のように冷静かつ丁寧に、言葉を紡ぎ続けることができたかどうか? 岡田氏の対応に敬服しつつ、貴重な学びの機会とさせていただきます(ありがとうございました、お疲れさまでした)。原因の究明と、その先に待っているはずのH3ロケット打上げ成功を、心よりお祈りします。

[ 2023-02-23 追記 ] インターステラテクノロジズの代表を務める、いな様こと稲川氏が本件に関し非常に丁寧なBlog記事「ロケット打上中止後の延期は失敗なのか?」を掲載していました。今回は延期後に打上げ再トライするので、失敗ではない。(もちろん、まだ成功もしていない)、という結論はまったくもっておっしゃる通り。また、大貫さんのロケットの打ち上げの「失敗」ってなんだろう、ということを、せっかくの機会なので改めて考えてみたいと思います。客観的に、多面的に。というつぶやきから始まる一連のスレッドも、本件の理解を深めるうえで非常に参考になると思いました。

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