@kazuhito
Kazuhito Kidachi's Personal Web Site Since 2000

ESG思考

ESG思考 激変資本主義1990-2020、経営者も投資家もここまで変わった』いついて。ESGを取り巻く状況の変化、歴史的経緯を、日本と欧米を対比しながら解説した本。末尾の著者略歴を読んで、以前からチェックしていたSustainable Japanの運営者だったり、ハーグ宇宙資源ガバナンスWG社会経済パネル委員だったことに、興味を引かれました。

......というのはさておき、本書でとてもわかりやすいと思ったのが、経済認識に関する4分類モデル。環境・社会への影響考慮に賛成か反対か、また考慮することが利益増とみるか利益減とみるか、の2軸によりニュー資本主義、陰謀論、脱資本主義、オールド資本主義の4象限に既存の主義主張を分類しています。陰謀論、という分類が自分には思いつかなかったな......以下つらつらと感想など。

日本では、CSRのことを「利益と目的としない社会貢献活動」と認識している人が多い。

この後に本業とは関係のない分野に寄付するほど純粋な社会貢献度合いが高いという暗黙の感覚というフレーズも出てくるのだけど、この時代遅れの認識や価値観はどうすれば崩せるのだろうか。経済に関連して何かこう、破壊的な(リーマン・ショック以上の)イベントでも起こらない限り、どれだけ丁寧に説明を繰り返そうと崩すのは難しそうな気がしてしまうのは、自分だけだろうか。

ESG投資の「長期思考」の世界が成立するためには、むしろ投資を受ける側の企業が長期思考になれるかどうかが重要となる。このきっかけを作ったのがリーマン・ショックだった。

長期主義と短期主義、本質的には相容れない2つの考え方をどう馴染ませつつ受け入れていくかが大事だと思うけれど、その辺りはどうなのだろう。基本的に軸足は長期主義に起きつつも、どれだけ短期主義に寄せて発想するかは分野によりけりだし、また時代とともに変化していくイメージで自分は捉えているのだけど。

巨大なウォルマートがサステナブル・ファッションの領域に進出してくることを警戒し一度は断ったものの、世界全体をサステナブルにするというパタゴニアのミッションに照らせばウォルマートが変革することは大歓迎とし、知見を共有していった。

パタゴニア、SDGsとかサステナビリティの文脈でよく登場するブランドだけど、ウォルマートとの一件は初耳でした。いや本当にすごいね......尊敬します。

「コーポレート・パーパス」は、長期的な戦略や目標を描くために不可欠だ。変化が激しい世の中で、我々にも変化が求められる中、我々が何者でいたいかが認識できなければ、いったいどこに向かえばいいのか決められなくなってしまう。

しばらく前から「パーパス」がやたらバズっているというか、猫も杓子もパーパスって印象があるのだけど、本書が出版された当時から既にそのきらいがあったのかね。ともあれ、おそらくそういう思考が企業を含むあらゆる組織はもちろん、個人という単位においても問われ始めている気がします。経済、環境、社会が不可分との認識が深まり・広がるほどに。

現在地:ホーム > 覚え書き > 月別アーカイブ > 2021年11月 > ESG思考
Google カスタム検索を利用しています