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Re: オリンピックを終えたアスリートの方へ

為末大氏がお書きになったオリンピックを終えたアスリートの方へという文章が大変味わい深いというか、含蓄のある内容に感じられたので、覚え書きしておきます。オリンピック出場選手の、オリンピック「後」における生き方が主題ではありつつ、人間の持つ普遍的な弱さ(とその乗り越え方)が優しく諭されていて、たとえメダリストのような超人であっても結局は「人」なんだよね、みたいな。

そして、規模から何からまるで違う、というのはもちろん承知しているのだけど、オリンピックという一生に何度と経験することのない晴れ舞台を鳥人間コンテストに置き換えて捉えようとすると、個人的には共感できる部分が少なからずあると思っていて。為末氏の件の文章についても、「オリンピック」を「鳥人間コンテスト」に置換して読んでみると、ああ確かにね......となる箇所がありました。

例えば、オリンピックの光があまりにも強いために、呪縛から逃れられず苦しむ様子というのは、思うような結果を残せず(俗に「成仏できず」ともいう)、結果として地縛霊だか浮遊霊として? 現役で鳥人間に関わり続ける人の様子に読めてしまう。それを自分は否定しないし、むしろ羨ましさを感じるものの、今はまぁ卒業できて良かったかなと思える(ただし、鳥人間コンテストに未練はないが人力飛行機に未練はある......面倒くさいw)。とりわけ、めちゃくちゃしっくりきたのが一番最後の段落にある以下のくだり:

オリンピックが終わっても人生は続きます。私も引退して10年ほど経ちましたが登ることより降りることの方が難しく感じます。一番大切なことはみなさんがオリンピックに出て幸せになったと感じられることです。

本当にそれ。鳥人間コンテストが終わっても人生は続く。一番大切なことは鳥人間コンテストに出て幸せになったと感じられること。たとえどんな結果に終わっても......それは、実際に出場に至るまでの悲喜こもごもを経験し、自分なりの地獄と天国の両方を味わって、なおかつ年数が経った今だからこそ、そう思えます。出場できたらそれだけで儲けもの、いや奇跡と言ってもいい......そもそも書類審査で落とされていたかもしれないし、本番までの間に修理不能なまでに機体を壊す機会はいくらだってあったはずだし、云々。

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