Q&A SDGs経営
著
大学院のSDGsの授業でお世話になっている笹谷秀光先生の著書、『Q&A SDGs経営』を読みました。授業の復習という意味もあるけど、純粋に内容が面白そうだから、というのも購入理由。同じメッセージが複数の箇所で繰り返されるのが気にはなったけれど、一問一答形式で読みやすく、とっつきやすかったです。
こだわりを感じたのは、一つには英語の訳し方への言及。
- (ステークホルダーがよく利害関係者と訳されるのに関して)
利害という言葉はニュアンスがきつく、訳としては「関係者」で十分だと思う
- (SDGsの訳語に関して)
「Development」が「開発」と訳されているため途上国を想起させる。「開発」よりも「発展」と訳すほうが先進国にも適用されやすいのではないか。
日本語では、CSRのResponsibilityを「(社会的)責任」と訳したことにより、受け身型の最低限守るべき事項という語感が漂う。翻訳というものは難しい。
といった指摘があり、いちいちなるほどなーと。もう一つ感じたこだわりが、日本はもっと積極的に世界のルールメイキングに参加すべし!というメッセージ。
日本は、世界発のルールに対応するだけでなく、これを「自分ごと化」して使いこなし、さらにはルールメイキングにも参画していくべきだ。
日本人も国際ルールに従うだけでなく、ルールメーカーに回る時期がきていると思う。
- (ロンドン五輪に際してイギリスがBS8901をISO20121化したことに触れ)
自分のルールをマルチ化(多数国の合意とすること)して世界のルールにしてしまう。日本もそろそろ自分から提案して国際ルールをつくる時機ににきていると思う。
といった感じで、一貫して日本を鼓舞していらっしゃる。Web技術に関して標準化の現場を少しばかり垣間見てきた経験からすると、ごもっともな感じがするというか、今後に向けては中国勢とどう向き合っていくかみたいな視点が特に重要になってくるかもなーと思ったり、思わなかったり。