宇宙に行くことは地球を知ること
著
正直、どこかで聞いたような話のオンパレードだったらどうしよう、なんて先入観でちょっと敬遠していたのです。しかし結果的には良い意味で裏切られ「なんて素晴らしい本なんだ、買ってよかった林さんありがとうございました」ってなったのが、宇宙飛行士の野口さんとシンガーソングライター・矢野顕子さんの対談を書籍化した『宇宙に行くことは地球を知ること~「宇宙新時代」を生きる~』。
船外活動中に「僕、今どこにいるんだっけ?」という冗談のような会話が宇宙飛行士間で交わされることは、決して珍しくないんです。
......ほう。昨今はもはやアポロの時代なんかとは打って変わって、やたら正直なのね。昔だったら、この手の弱音とも受け取れる、つまり地上の人間(誰)からマイナス評価を受けかねないような発言て、基本的に忌避されていたような印象があったけれど。時代は変わったというか、自分が不勉強なだけか。
目や耳からの情報が遮断されたとき、残された感覚でなんとか補って、自分の内部に外の世界をつくり上げていく。これまでの常識では考えられないような、「感覚のクロスオーバー」が起こったわけです。
非常に興味深いですね。そして、そういうクロスオーバーが常態化した先に、何かこう人類にとっての新たなステージが待ち受けているのを、どうしても期待してしまう。まぁガンダムの見過ぎといえば見過ぎなんだけども......ニュータイプ論に近しい何かっていうのは、個人的な願望として捨て切れないんだよなぁ。
宇宙飛行士の訓練とは、つきつめればリスクやトラブルにどう対応するかの準備作業です。
うんうん、だから自分も登山は準備するプロセスが地味に好きなんですよね。想像できる限りの備えをしなければ、下手をするとあっさり遭難するし、最悪の場合に命を落とすのは職業的宇宙飛行士とまったく同じ。
ミールでは2メートル四方の通路をふさぐような炎が出たというレポートがあります
......おおお。火災がそんなに激しかったというのは初耳かも。まぁミールではいろいろありましたしね。
特に僕が虜になり、撮影に熱中したのは、南米のパタゴニアです。海岸線の美しさ、氷河の地形やその色合いに夢中になって、何日撮り続けても飽きないのです。
パタゴニアは地上で撮影された写真を見ても美しいですからね。必ずいつか歩きに行こうと思っている場所の一つ。そんな場所に野口さんが虜になっていたとは、ちょっと嬉しい。
「スペースXがどこまでやるか見てみよう」「でも本命はボーイングだよね」と見ていた宇宙関係者が多かったと思います。
うーむ、そういうものなのか......むしろ自分のような門外漢、外野の立場からだと、飛行機に関連して聞こえてくるあれやこれやの良からぬ噂話と混ざり合って、ボーイングは無理だろうという見方しかしてなかったので意外。まぁそもそも自分はSpaceXのシンパだからっていうのはありますけど。
ロシアもスペースXも、スピード感を持って打ち上げをしている。それが世界のロケット開発の潮流であるとしたら、細かい確認作業をやっているのは日本だけという可能性は大いにあるわけです。
踏み込んでるなぁ。受け取り方によっては身内批判と読めなくもない内容を、よくぞ言って(そしてそれを書籍に載せて)くださったなぁ......と。いやこの程度の発言、自由闊達にできないようでは困るとも思いますけど、それだけJAXA(の広報)も柔軟に変わってきていることの証左なのだろうか云々。
読者の皆様の中から、宇宙への夢を繋いでくださる方が現れたら、僕にとって望外の喜びです。
はい、繋ぎ続けます。これまでも、これからも。諦めない限り、夢は叶ったことにできるそうなので!