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比較的至近で発生した滑落事故

19〜22日にかけて涸沢とか穂高連峰へ山歩きに出かけていた、その最中の記憶(写真は涸沢2泊&奥穂〜北穂 縦走 | Flickr参照)。21日は涸沢からザイテングラード経由で穂高岳山荘へ登り、奥穂高岳山頂までピストンしたのち、涸沢岳経由で北穂高岳へ縦走し涸沢へ降りる、という予定でした。終盤、昼食休憩を取った北穂高小屋をあとに山を降り続け、最後に現れる鎖場を通過した直後のこと。突然耳にしたのは、比較的大きな落石の音と男性の叫び声。一瞬にして、滑落事故の発生を悟りました。

これはちょっと大事かもしれない......と思いつつ、どこで発生したか自分の位置からは視認できません(道はつづら折りになっていて、また高度差も10メートル近くあったはず)。男性の、なんとも形容し難い叫び声は続き......やがて、落ち着きを取り戻したらしき男性と、自分より現場の近くにいたであろう方々とのやり取りが聞こえ始めました。辺りは携帯電波が通じないため、ほどなく救助要請を声のリレーで麓まで伝えることに。

4連休中で、ルートにそこそこの人出があった(=声の届きそうな可視範囲に登山者が点在していた)のは、ラッキーだったと思います。自分も中継者の一人として、レスキューを頼むとか、意識はない模様とか、大声を出しました(慣れないことで、裏返ってしまったけど)。やがて逆に麓のほうから、119番に繋がったとの声が聞こえ、少しホッとしました。その後、声のリレーに加わった以外に自分に協力できることは無いか、念のため確認すべく登り返して現場近くへ。

そこで認識したのは、滑落したのが女性1名であること。同じパーティーは男性1名で、その方が彼女の安全をロープで確保していたこと。女性は既に意識を取り戻しており、出血は鼻血のみ、しかし背中の痛みを訴えていたこと。やがて無線?をお持ちの一般の方が登り返してきて、山小屋かどこかの方々と連絡を取り始めました。そこで自分に協力できることはもう無いと確信、彼女の無事を祈りつつルートへ復帰。途中、現場へ向かう救助隊員3人とすれ違いました。おそらく彼女を運ぶためであろうヘリが飛んできたのは、自分が涸沢小屋に着いてしまってからのこと。

長野県内の山岳遭難発生状況(週報)/長野県警察を見るに、該当の事故は仲間2名で北穂高岳から下山中、滑落、負傷と記録されているものでしょう。死傷別の欄には負傷とあるので、命に別状はなかったのだと思います。たまの山歩きを趣味にしてしばらく経ちますが、今回のが最も至近で発生した滑落事故であり、改めて山ではワンミスが命取りになる得ることを痛感しました。ちなみに同じ日のもっと早い時間帯、別の近場(涸沢岳)でも滑落が発生していたのを、すれ違った登山客から聞いていましたが、先述のページにある仲間2名で北穂高岳から涸沢岳方面へ縦走中、滑落、負傷の件でしょうね。

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