Re: 日本の電子出版をさらに成長させるために =固定レイアウト電子書籍の推進=
著
HON.jp経由で知ったのですが、日本電子出版協会(JEPA)が「日本の電子出版をさらに成長させるために =固定レイアウト電子書籍の推進=」という意見公告を発表したとのこと。はて、耳慣れないけど意見公告ってなんぞや?と思いWikipediaを確認:
意見広告(いけんこうこく)とは、個人や団体、企業などが政治問題や社会問題、法律や税制などについて、自らの意見や主張を表明する目的で作成した広告である。
読んだ感じ、あまり広告っぽさを感じなかったし、どこにも意見公告だなんて書かれていなかったものだから、普通のプレスリリースとしか思えなかったのですけど、それはさておき。
現在主流のリフロー型EPUB形式では、過去に発行された書籍を電子書籍化することが困難な場合がほとんどです。その多くはテキストデータがクリーンに保存されていないため、電子化するコストが需要に見合いません。そのため1960~2000年代、日本の出版界の隆盛期に作られた書籍がテキスト化できないまま、取り残されています。
また、欧米に比べ複雑なレイアウトの書籍や頁参照の書籍も多いことも電子化の障害となっています。
なるほどそういう明確な理由・背景があるならば、固定レイアウト電子書籍「も」推進というのは、賛同できます。Webに公開された時点でそのコンテンツが実装の出来不出来を問わず相当アクセシブルと言われるように、書籍も電子化することで(たとえ固定レイアウトだろうとスクリーンリーダーでの読み上げに難があろうと)相当アクセシブルであることは、認めざるを得ませんし。
しかし一方で個人的に不安を覚えるのは、この動きがリフロー型の電子書籍出版の推進を鈍化させたり、リフロー型で作ることが技術的に可能な電子書籍をも固定レイアウトで作ってしまう口実を与えてしまうのではないかということ。後者のケースについては、可能なら読み手に固定レウアウトかリフローかの選択肢を提供してもらえるとベストですが......まぁ、JEPAには村田さん(誰)がいらっしゃるから、僕の不安は杞憂だと思いますけどね。
いや意見公告で注目すべきはむしろ、AIデータ活用コンソーシアム(aidata.or.jp)と協働
というくだりかもしれない。AIを使った活字OCRの調査研究を行います
とあるけど、ぜひその協働を発展・拡張させて、電子書籍の音声読み上げにおける誤読の低減に取り組んでいただけないかなぁ、などと妄想します。