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Fw: 「一部準拠」というWebアクセシビリティの対応度の位置づけについて

同僚の中村さん(言いにくいw)が書いた、『「一部準拠」というWebアクセシビリティの対応度の位置づけについて』という記事について。冒頭に出てくる、WAIC関係者用Slackでのコメントは私が書いたもので、いずれここ(何処)に顛末を覚え書きしておこうと思っていたのですけど、あっさり先を越されてしまいました。というのは気にせず、むしろ便乗させていただく格好で、個人的に思うところを書いておきます。

問題点は明らかで、第一に「一部準拠」という言葉について、WAICの策定した「ウェブコンテンツの JIS X 8341-3:2016 対応度表記ガイドライン(2016年3月版)」と総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」とで、微妙に粒度の異なる記述がなされている点。後者は理解にブレの生じないよう、かなり噛み砕いて記述されているのですけど、それに比べ前者は「上位レベルは下位レベルを包含する」という考え方の説明を省略しており(当該ガイドラインはあくまで規格本体とセットで利用される想定のため、それ単独で利用・解釈されることを想定していない)、件の記事が紹介しているような誤解を招きやすくしてしまっています。

そこで起こり得る誤解を敢えて極端に表現するなら、WCAG 2.0にある達成基準を一つでも達成したことを試験で確認できさえすれば、JIS X 8341-3:2016の適合レベルAAAに一部準拠したと宣言できてしまうわけです。たとえそのサイトが画像に適切な代替テキストを指定せず、つまりレベルAの達成基準である1.1.1 非テキストコンテンツを達成していなかったとしても、です。「上位レベルは下位レベルを包含する」前提においては、当然そのようなことは起こりえないのですけど、しかし残念ながらそうした誤解に基づく試験結果表示の存在を自分は認識しており、対応度表記ガイドラインにおける書きっぷりは早急に見直さなければならないだろうと思います。

第二の問題点は純粋に言葉の響き、印象の問題で、中村さんの記事にある部分的な対応となる「一部準拠」はあまりよくない印象を抱いている向きもあるのでは、というようなSlackでのコメントてのも、何を隠そうコメント主は私です。統計的な調査をしたわけでも何でもありませんけど、100%主観として「一部」って言葉をネガティブに捉えている向きの存在を感じるんですよね。その辺りについては昨年末に2019年のWebアクセシビリティ雑感とかガイドラインの功罪とかでも「準拠」という名の呪いにかかってやしませんかね?などと書きました。今の対応度表記ガイドラインに定義されている「配慮」「一部準拠」「準拠」の3つに代わる、もっと前向きなラベルなり、達成度合いの表現手法が望ましいのではないかと、そう考えている次第です。

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