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Re: 「攻殻機動隊」の押井守が語る「日本人は進んで未来を捨ててきた」

「攻殻機動隊」の押井守が語る「日本人は進んで未来を捨ててきた」(ダイヤモンド・オンライン) - Yahoo!ニュースというインタビュー記事を、とても興味深く拝見しました。自分は特別、押井氏のファンというわけでもなく、「攻殻機動隊」よりか「パトレイバー」の印象が強いのだけれど、閑話休題。とりわけ興味深かったのが、日本企業や資本主義について持論を展開されているくだりで、

かつてのソニーやホンダみたいな、技術というものを面白がる企業って今はほとんどない。眼前の状況への適応に特化することで、最大の利潤を引き出そうというあり方に、ほとんどの日本企業が移行しちゃったんですよ。企業である以上、利益をまず出さなきゃいけないとか、最小のコストで最大の利潤を引き出すにはどうするかといった発想は、一見すると正しく見える。

全体的な傾向としては実際そうだと思っていて、そういうスタンスを突き詰めていけば、どんどん物事の見方が近眼視的に、比較的短い時間軸でしか判断を下せなくなっていく。それはある意味、資本主義自体による回避不能な要請であり、つまりは資本主義の欠陥かのように映っていたのだけど、どうも押井氏はそうは考えていらっしゃらない模様。

世の中に合わせるんじゃなくて、自分が生み出すものが世の中を変えていくっていう発想、それ自体はとても大切だと思うものの、それで果たして変化著しい世の中をどこまで渡り歩けるものか......一部の天才・秀才はともかく、自分は正直あまり自信がないっていうか。反応して、リスクを負わずに最大限の利潤を引き出すための最適値を出そうとしているってスタンスも、やっぱり必要なのではないかなぁ。そればっかりではつまらないし、ダメだと思うものの。それはさておき

言い換えると本来の資本主義は、人生の選択肢を増やす方向で始まっているはず。それなのに今は、逆に選択肢を減らす方向をみんな目指している。

というのは凄く重要な指摘に感じました。加えて

効率良く人生を生きるには学歴をつけて、いい会社に入って、お金を稼がなきゃって考えて、結果的にどんどん自分の選択肢を減らしているんです。もしかしたら学歴とか会社と全然関係がないところに、自分の人生を充実させる可能性があったのかもしれないのにね。

というのも微妙に耳が痛い。効率の良さを追い求めるのも一つの選択であり生き方だと思うし、それを否定はしない(すれば自己否定につながる部分もある)けれど、確かにそれと引き換えに選択肢や可能性を狭めている側面はある(あった)なと。先日受講した役員研修(何)でも痛感したのはその点に尽きます。なぜこうも視野狭窄に陥ってしまうのか......それもまた資本主義のなせる技ではないのか、などと責任転嫁したくなってしまいます(謎

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