企業の真価を問うグローバル・コーポレートガバナンス
著
Amazonで適当に買ってみたらなんか期待した内容と全然違かったんだけど、まぁたまには敢えてそういう本を最後まで読んでもいいかってんで読了したのが『企業の真価を問うグローバル・コーポレートガバナンス』。もう3年前の本だから、必ずしも最新事情が反映されているとは限らない点は注意が必要だけど、なかなか面白かったです。線を引いた中からいくつか抜粋:
投資する側、される側の時間軸のすり合わせが、日本のガバナンス改革の課題のひとつ
「企業家の人間としての資質と道徳心が資本主義の質を定める」と言う、経済学者ヨーゼフ・シュムペーターの言葉
米国は株主の敵対的な行動が、企業社会のダイナミズムにもつながっている。日本は株主の敵対的な行動が少ないため、その標的になるのを避けるために経営改善に努めるという意識に乏しい
経済のグローバル化が進んだため、各国の規制当局が個別にルール作りをしてすり合わせるという作業をしていては、市場の現実に追いつけなくなった
ESGが、短期主義を回避するためのツールとして位置づけられている
インパクト投資が提唱された背景には、リーマン・ショック後に広がった金融資本主義への反省がある
割と強調されていたように思うのは、「ガバナンス≒法令遵守」という(日本企業にありがちな)狭いものの見方は改められなければならない、という著者の主張。社外とのコミュニケーション、より狭義にはアカウンタビリティという言葉に集約される類の取り組みが、グローバル化と並行して強く求められるようになった、と。
加えてESGのような取り組みが経営や投資に求められるようになるのは、ある意味では(ややもすると資本主義に対し疑いの目を向けがちだった)自分にとって、福音でもある。CSRという概念の焼き直しにも感じたけれど、使う言葉は極論まぁ何でもよくて、環境、社会、究極的にはグローバル化と紐づけるならグローブ=地球といかに並存していくかという視点なくして企業が存在し得ないようになればいいな、と思います。