宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。
著
今年6月にKindle版を購入、しばらく前に読み終えていた『宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。』について。『宇宙兄弟』は、いまだに最新巻が出れば買って読んでいる唯一の漫画ですけど、同作品からの引用をふんだんに盛り込んでのリーダー論というか、一種の自己啓発本というか。
本書を読んでの気づきというのは、自分の価値観なりあらゆる発想の土台にある、「あらゆる物事は基本的に分化し多様化する」というのがリーダーシップやマネジメントの領域においても地味に重要な前提条件であるということ。また暗にそれを是としている作品だからこそ自分は『宇宙兄弟』を面白く感じ、またいまだに続編を買い続けているのかもしれないということ。
率先垂範・不動不惑のリーダーは通用しなくなりつつあり、「総リーダー時代」に突入している
上記のくだりがある意味、社会の分化・多様化というトレンドをとても端的に言い表しているのかなと思います。以前からリーダーシップとフォロワーシップは表裏一体という見方をしてきたけれど、ますます、それらが渾然一体としつつあるというか。そして
リーダーシップは「自分の得意分野や強みを活かして、人に影響を与える」こと
という定義は、なかなか興味深いです。リーダーシップ、なんとなく集団や組織において「あるべき姿」を提示し、向かうべき道筋へと全体を導くような任務、資質を指している言葉という印象がこれまでは強かったと思うのですね。人に影響を与える
という点は共通しているけれど、先に引用した総リーダー時代
においては、一人一人の得意分野や強みが一層、重要になると。で、影響の与え方について重要な点を示唆しているのが
人の心を動かすのは、「支配」ではなく「共感」
というフレーズ。支配を否定しているのは、全体的・社会的にヒエラルキーを前提としたリーダーシップが機能しにくくなってきているかもと思いつつ、そこは別のところで
ヒエラルキー型は人間関係がトップダウン&ボトムアップだからこそ、そこに愛情や信頼がなければ正常に機能しない
と説明しているくだりと合わせて解釈すると、しっくりくるかなと。