韓国のWebアクセシビリティ動向(または「第4回アクセシビリティキャンプ東京 その3」)
著
第4回アクセシビリティキャンプ東京 その1で既に触れた内容ではありますが、Seoung Euon Shinさんの講演が勉強になったので、改めて。
個人的に特に気になった点をピックアップしておくと:
- 2008年4月11日に定められた障害者差別禁止法が電子情報の取り扱いについても規定している
- 差別行為が悪質な場合、3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金が課せられる
- 2009年以降、段階的に適用範囲が広げられ、今年はいよいよ全ての法人が対象となる
- 昨年(2012年)11月、Webアクセシビリティ関連の訴訟が起きていた
- 同じく2012年、サムスン電子が視覚障害者からの要求を受け入れ、全製品に音声読み上げ可能なマニュアルを提供する決定を下していた
- 韓国国内でWebアクセシビリティの認証機関が乱立した時期があった(日本ではJIS X 8341-3:2010の場合、第三者認証の形式を採用していないので、そういった状況はあり得ない)
また、講演終了後に伺ったお話:
- 韓国ではIEのシェアが異常に高かったと記憶しているが、その状況に変わりはないか?
- 引き続きIEのシェアは高いが、スマートフォン登場以降は状況が変わった(スマートフォンがIE寡占状態に風穴をあけた模様)。
- 高いIEのシェアを背景に、IE専用のサイトをもつ企業は多く、また改修コストは膨大になるはず。反対運動はなかったのか?
- 当初は反対もあったが、しかし今年から全ての法人が対象になるというのは5年前から予告されていたこと。
- SEOと紐づけてマーケティング側面を訴求する方向性は賛成だが、韓国国内の検索ベンダーはアクセシビリティとSEOの相関について何かしら明言していないのか?
- してはいない。
中国でもWebアクセシビリティへの取り組みが強化されつつあるようですし、日本もそろそろ法律でもってこの分野のてこ入れを考えたほうが良いような気がします。もっとも、僕自身はWeb業界自身による自助的な取り組みのなかからてこ入れできればと思っていますし、そうするつもりでもいますけども、如何せん利用者の立場から考えると法律のチカラもきっと必要だろうなと。公共機関については、既に一定の取り組みがみんなの公共サイト運用モデルのおかげで進んでいるわけですけども、一般企業に目を向けるとなかなか厳しい状況なわけで。