HTML5クックブック
著
オライリーの『HTML5クックブック』を読了。クックブックだけに、仕様を網羅的に学べるわけではなく、ありがちな課題とその処方に的を絞った構成なのですが、コンパクトなうえニヤリとするようなフレーズが随所にあって楽しめました。この手の本には珍しく、アクセシビリティに一章を割いているのも良い(掘り下げ度合いに不満はあれど、まぁクックブックである以上は致し方ない)。以下、個人的にビビビと来たところなど:
HTML5は絶対的命題ではない。
この業界はいろいろな意味でHTMLと似ているし、これからもずっとそうだろう。つまり、変化に終わりはないのである。
本書の執筆時点では、ナビゲーション目的で構造要素を参照するブラウザやアシスティブテクノロジーは存在しない。
......残念です。ブロックレベルの要素をリンクで囲むことは、HTML5のDOCTYPEを使う理由として十分である。
現在のマイクロフォーマットパーサーは<time>要素を認識しない
contenteditableを最初にサポートしたのはIE5.5
多くの開発者はあいかわらず、コードを明確に保つための「ベストプラクティス」にうるさい。
Resig自身は、それを「shiv」と呼んでいる。
......自分は「shiv」という名前でしか認識していませんでした。エラーメッセージを指定したい場合は、各入力フィールドにtitle属性を追加すればよい。
......これ、微妙ですね。訳注で注意を促されてはいますが。- 「セキュリティシアター」とは、
セキュリティを改善するように見えるものの、セキュリティの改善にほとんどあるいはまったく貢献しないセキュリティ対策のこと
、らしい。「アクセシビリティシアター」という語を思いつくなど。 ネイティブとは、つまり、<object>や<embed>のような見苦しいタグはもう必要ない、ということである。
......embedはさておき、object要素カワイソス。<img>要素でalt属性を使うのは現実的な方法ではない。
......ここ(p.102)、誤記ではないでしょうか。audio要素の話をしているのに、なぜ突然img要素の話になるのか、意味がわかりませんでした。フォールバックコンテンツを用意することは、アクセシビリティを保証したり、アクセシブルコンテンツを用意することとは異なる。
<blink>要素はたいてい嫌われているが、それでもブラウザでサポートされるのだから、不思議なものだ。
......まったくです。手首の骨折や切断など、一時的な障碍
......ん?骨折は一時的と言えるけれど、切断はどうだろう。alt属性を省略したり、値としてnullを指定したり、代替テキストを別の方法で提供したりする場合は、よく考えた上で意図的に行わなければならない。
将来的には、これは「メインコンテンツへ移動」や「ナビゲーションをスキップ」リンクに代わるソリューションになるかもしれない。
......というか、そうなって欲しいし、そのための標準が存在しないことが問題。引き続きスキップリンクの話でも書いたけど。将来的には、ARIAのランドマークロールやスキップリンクを追加する必要はなくなるかもしれない。ユーザーエージェントとアシスティブテクノロジーが各セクション要素を認識し、ユーザーがページのセクション間を移動できるようになるはず
......同意ですが、何年後になるかな☆どちらかと言えば実装上の問題なので、それらを詳しく説明したり、予測したりするのは無意味である。
まったく変化しない背景画像を1秒間に30回も再描画するのはリソースの無駄遣い以外の何ものでもない。