引き続きスキップリンクの話
著
今年1月にRe: スキップリンクにまつわるいくつかの議論で触れた、スキップリンクの件。その後ばけらさんが
という素晴らしいまとめを書かれたのを受けて、自分も考えをまとめないといかんなぁと思っているうち、あっという間に時間が経ってしまいました。5月にはw3c-wai-ig@w3.orgのほうで、Using Heading to Replace Skip Linksに端を発する議論には参戦してみたものの、いかんせん自分の英語力がアレ過ぎる&論点が移りまくりで消化不良。そして最近になって再びばけらさんが拡張機能によるアクセシビリティ・サポーテッドの要件という記事を書かれたのを機に、先の「スキップリンクにまつわる議論まとめ」に沿って現時点の私見を覚え書きしておくと、
スキップ機能はWebコンテンツ側で設けるべきか
設けても良いとは思いますが、設けるべきとまでは思いません。達成基準 2.4.1 を理解する | WCAG 2.0解説書にこの達成基準の意図は、コンテンツ内を一つずつ順を追って行き来している利用者がウェブページのメインコンテンツへ直接移動できるようにすること
とあります。メインコンテンツの在処を、制作者が明示的に記述するための標準なり仕様の存在しなかったことが、本件に関する最大の問題と感じています。その点さえ明確なルールを設け、制作者とブラウザベンダーの双方が従えば、ブラウザ側でメインコンテンツを機械的に抽出したり、その先頭にアクセスする手段を用意するのは容易いはず。つまり、スキップリンクを制作者がわざわざ用意するまでもなくなると思いますし、そのためにもメインコンテンツの明示方法に関する標準化が必要ではないかと思います(既に role="main" がありますけども、一応)。
Webブラウザはスキップ機能を設けるべきか
上記の理由から、自分はWebブラウザ側でスキップ機能ないしそれに類する何かを設けるべきだと考えています。少なくとも、設けて欲しいと思います。メジャーなビジュアルブラウザでは唯一?Operaではキーボード操作により見出しだけをたどったりできることは比較的知られていますが(参考:一般ブラウザにおけるセクション間の移動 (キーボード操作) -- Website Usability Info)、他のビジュアルブラウザでも同様の機能が提供されれば、その恩恵にあずかるユーザーはいるのではないでしょうか。あまり関係ないけど、Safariではリーダーという機能によりわずらわしい広告がない、すっきりと整理されたレイアウトでサイトが表示
されますよね。あれは割とメインコンテンツの機械的抽出に近いことを裏でやっていると思うのですが(しかし同機能の発動条件はHow to enable Safari Reader on your site? · Mathias Bynensを読んでも謎)、HTML5の時代になって使える要素の種類が増えたことだし、制作者の意図するかたちで同じことが実現できると有り難いと思っています(それを逆手に取ってあれこれする人も出てくるでしょうが、それはまた別のお話)。
ブロックスキップの達成等級は妥当なのか
妥当ではない、と思います。スキップリンクが解決するのは、コンテンツにアクセスできるかどうかという「可否」ではないという一点において、AではなくAAが相応だろうという印象を抱いています。