リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?
著
『リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?』は、元切込隊長こと山本一郎氏の最新著作。タイトルだけ見て買ったようなものですが、大晦日に帰省する電車の車中で一気に読みました。政治や経営というものに、日本全体が(そして僕自身も)不信感を抱くニュースを目にすることが世の中的に増えている気がする今日このごろ、その元凶には一体何があるのか?というのを探るべく読んだのだけど......面白かったです。第5章が、山本氏の携わっているコンテンツ業界にやや特化した内容ということで、ちょっと眠かった(というか実際半分眠りながら読んでいた)以外は。自分がぼんやり感じていたことをスッキリ、明快に文章化されているような感覚も覚えましたね。たとえばp.102より:
しかし、場所が離れ、業務内容が拡散し、お互いがお互いの顔を見ながら意思疎通する機会が減少していくと、どうしても自分の部門の権益を全体の利益より優先するセクショナリズムのような行動が顕著に見られるようになります。この手の遠心力に対抗するために、トップはどうしても自社の考えや理念、目的や方向性を、何度も何度も、それこそうもうその話は何度も伺いましたよと思われるほどに伝えなければなりません。
非常に心当たりがあるというか、身につまされるようなくだりです。組織が組織としての体を成すためには、一定の熱量というかコミュニケーション量が必要だとは思っていたけれど、つまるところ日本という国全体であれ企業であれ企業のなかのいち部門であれ、規模や種別を問わず同じ組織という見方をすれば、上記に引用したリーダーの要件は同じなのだろうと。そんな感じで新書かつ低価格の割に示唆に富んだ、お買い得感のある本書なのですけど、そのエッセンスはあとがきに詰まっていたように思います。以下、あとがきから印象的だったくだりをいくつか:
本来のリーダーシップとは正しさを人に説得し、その正しさを追求してもらうための説得の総体
人間と向き合う姿勢、膝詰めで「何が正しいのか」を考え抜くことがリーダーシップの源泉であり理念
リーダーシップの不足を日本人が政治や経営に感じるということは、すなわち社会全体が「何をもって正しいとするか」のコンセンサスが不足しているということ
自分も少なからずリーダーシップを求められる立場にあることは認識していますので、これを機に今までの取り組みを見直したいと思います。