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964人中の一人、にはならなかった件

先日JAXAより発表があり、国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士候補者への最終的な応募状況につき、応募者数は過去最高の963名(うち男性839名、女性124名)にのぼることが明らかになりました。もし仮に僕も応募していれば、総数964人のなかの一人として宇宙を目指すハズ……でしたが、標題にもありますように「今回は」応募を見送る決断をしています。募集は6月20日に締め切られましたけど、必要な健康診断等に要する時間を踏まえ、既に5月末日の時点で決断していました。ただ、それについて考えをまとめ覚え書きをするのは、やはり締切を過ぎてからにしよう、と思っていた次第。

実は募集が開始された直後の4月には早速、勤務先の代表に相談をし、応募への理解と承諾をいただいていました。にも関わらず応募しないことにしたのは、非常に申し訳ないというか勿体ないというか、そんな気持ちもあります。ただ今回の決断については、日常生活においてなかなか時間が取れないながらも精一杯悩み、考え抜いた結果として、十分納得のいく結論だと思っていますし、後悔はありません。ゴールデンウィーク中に両親と中国へ観光に出かけていたときですら、応募の是非を巡り毎晩考えていたのも、今となっては良い思い出。もっとも、そう簡単に選抜される類のもので無いことは良くわかっているつもりだし、次に同様の募集があるのが何年後になるのかわからない以上、いわゆる「記念受験」の検討もしました。しかし、中途半端な覚悟で応募するような、他の応募者に迷惑かつ失礼に思うことはしたくなかったのです。

応募を見送った理由として大っぴらに書けることの一つに、納得のいくレベルで準備ができないままで受験したくない、というのがあります。何年も前から職業的宇宙飛行士の座を狙って日々地道に努力してきたならともかく、自分はそうではありません。また仕事の状況的に向こう数ヶ月のあいだで納得がいく準備を(本業と並行して)こなすのは極めて困難であり、家族や周囲への負荷は避けられそうになく……ましてや完全な異業種からの挑戦となる自分にとっては以下略。それが単なる言い訳に過ぎないことは承知していますが、落選時に「やっぱりね」などとひとりごちるのはもっと嫌だし。ただ、仮にまた10年後に募集が行われると仮定した場合、これからの人生をどう歩むべきかが少し見えた気がした意味では、今回の検討なり逡巡は、決して無駄ではなかったと思っています。

そしてもう一つは、職業的宇宙飛行士という国家プロジェクト上の立場に身を置くには、まだ他にやりたいことが多過ぎる、という点。自惚れるにも程があるって怒られそうだけど万が一、いや億が一にも宇宙飛行士への道が開かれたとして、本当にその方向へ何の迷いもなく邁進できるかというと、そういう覚悟が「まだ」できていない、ということです。機会があればまた人力飛行機で空を飛んでみたいし、いずれ息子と二人で一ヶ月くらいかけて南極大陸を一周してみたいし、それに何より僕はまだWebの未来を創る仕事に携わっていたい。勤務先で短・中期的にこれから取り組みたいことだって当然ある。そんな状況下で一年以内に今の職なり業界を辞し、宇宙一本やりな生き方に転身できるか……というと、正直難しいだろうと思ったわけです。

まぁ理由は他にもいろいろ(ここに書けないことも含め)ありますが、そういうわけで、当面は職業的宇宙飛行士でなしに、自分は自分にしかできない方法(謎)で、地上100kmの高みを目指すしかない。最後に、今回応募された963名のうち、宇宙とは縁もゆかりも無い業種・業界からの応募が何人いらっしゃるかわかりませんが、そういう属性の方々を個人的には強く応援したいと思います。是非、頑張ってください!!>誰

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