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地球システムの崩壊

松井孝典著「地球システムの崩壊」を読了。センセーショナルなタイトルであるとか(帯には大きく「人類に100年後はない!」とある)、文字量・情報量に対して割安な価格設定(税別1,100円)を抜きにしても、松井教授のファンを自認する身としては、やはり読んでおきたい一冊なのでした。まぁ値段に関しては、「潮」や「考える人」に連載していたものを集約したものですから、ゼロからの執筆ではないという点でコストカットできた結果かもしれません。しかし、二種類の連載をくっつけたがゆえ、第一部の「二一世紀の宇宙と文明を探る」と第二部「辺境に普遍を探る」とでは個々の最小構成単位の文字量が全然違う。つまり第一部と第二部では読み進めるうえでのリズムががらりと変わってしまう点は、ちょっとアレだなぁと思いました。

結局のところ、本書は他の多くの松井教授の著作と大きく変わるところはなく、基本的には氏の研究活動、特に人間圏やチキュウ学、アストロバイオロジーの研究成果やそこから導かれる考えを一般向けに書き下したものであって、殊更に環境問題を取り扱ったものではありません。単純に書籍のタイトルから、そういった分野の話を期待して読むとガッカリするかも。まぁ、地球温暖化が声高に喧伝されている昨今、こうしたタイトルを付けるのは本を売るためのマーケティング戦略上「ある意味」正しいのかな。それどころか、これまで松井教授の研究を知らなかった層が、本書をきっかけとして人間圏という言葉の意味するところを知ったり、環境問題を考えるにしてもアストロバイオロジーという学問領域からの新たな視座を得ることを期待できるといった点に、本書(のタイトル)の意義と価値は最大化されているように思いました。従前からの「追っかけ」(謎)としては、講演活動などで教授が旅に出た際に書かれたような随筆の部分が特に味わい深く、買って良かったかなと。

こと環境問題に紐づけて本書の感想を覚え書きしておくと、右肩上がりという共同幻想がもたらす消費活動の活発化、さらにそれが引き起こす地球およびその近傍における物質循環の加速を一つの文脈として捉え、人間圏が他から受けるフィードバックを可能な限り計測してみたいと思ったし、それこそは端緒にある共同幻想を別種の(「所有」ではなく「レンタル」をベースとした)発想へと転換するための鍵になるのではないか、と思いました。今仮に学生時代に戻れるとしたら、そのあたりを学際的に追求したいところです、はい。

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