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はやぶさ—不死身の探査機と宇宙研の物語

はやぶさ—不死身の探査機と宇宙研の物語」は、Amsterdam出張の際の行きの飛行機の中で読み終えました。長いこと買ったまま放置していたのには理由があって、忙しくて単純に時間がないという事情もあれば、(仕事を含め)日常に直結した内容でないがゆえに、日々刻々と変わる自分のなかの「読むべき/読みたい本ランキング」の上位になかなか入れないでいた、という事実もあります。そしてまた、便乗本。 - yosuke の日記において"買ってはいけない"とまでは言わないけど、"読むだけ無駄"くらいは言っておく、とあったのを目にしていたから、ということもあります。僕がyosukeさんの書評を読んだのは本書を買ったあとのことだったけど、他人の評価はそれはそれとして、とりあえず読みたくなったら読んでおこうぐらいには思っていたんですよね。

……結果として、yosukeさんが書かれている通り、確かにこれは「はやぶさ」の本ではないと思ったし、無駄な装飾が多いとも感じました。無駄っていうか、感情に過度に訴えかけ、感動なり興奮を喚起しようとしているように感じるくだりが多く、読んでいて妙に疲れてしまったのです(プロジェクトXを意識し過ぎ?)。無論そういうのが好きな人もいるだろうし、日頃宇宙開発に接する機会の無い読者を想定するなら、そういう書き方をしたほうが一層興味・関心を呼び起こせるかもしれませんけど……まぁその意味においては、僕は想定読者ではなかったということなのでしょう。本書ほどに書き方のレベルで飾り立てられなくとも、内容の意味するところで十分感動できるぐらいの「宇宙ファン」ではあるし、またそうあり続けたいと思うから。

そして何より微妙だなと思ったのは、背表紙にサイエンス・ノンフィクションと堂々と書かれているところ。2010年6月、ウーメラ砂漠の見出しに始まる節は明らかにフィクションなわけだし、ほかにも著者の主観的意見が書かれた部分が気になります(p.282〜p.284に顕著)。ノンフィクションを謳うなら徹頭徹尾、客観的事実の著述に終始して欲しかったなぁと。上に書いた過度な装飾というのは、ノンフィクションに求められる要素ではない、という意味でも微妙な気が。ちなみにyosukeさんは予想通り評判が悪いみたいとも書かれているけれど、Amazonのカスタマーレビューを読むと概ね好評っぽいのが謎。

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