情報のセレンディピティー 宇宙につながる「関係性(Web)」の未来
著
昨日の午後のことですが、東京ミッドタウンにあるデザインリエゾンセンターで行われた対談イベント、情報のセレンディピティー 宇宙につながる「関係性(Web)」の未来に参加しました。実は直前まで完全ノーマークだったのですが、幸い浅野さんから情報をいただき、ゲストがトルコ人初の宇宙飛行士であるSerkan Anilirさんだけにこれは面白そうだ、ということで急遽参加した次第。
開始時刻になって現れたSerkanさんの服装はとてもラフで、あまりの気取らなさに期待が膨らんだのですが、実際それを裏切らない素晴しいトークでした。日本語はとても流暢だし(なんでも8カ国語を操れるのだとか)、ユーモアのセンスもあって、さすがはNASAの宇宙飛行士候補生に選ばれただけの頭の回転の速さを感じました。(今さっき知ったけれど僕と同い年なのか!!色んな意味で衝撃的。)いくつか印象的だった話を以下にまとめます。
- かつてタイムマシンを製作したとき、実験の半分は成功したが、その要因のひとつにはプロジェクトを共にした人々と再び会いたいという人間的な想いがあった。
- 宇宙開発から技術移転して得られる成果は計り知れず、かかるコストに対して近眼視的に異を唱える層に対しては啓蒙が必要。
- A. C. Clarkeと初めて会ったとき、軌道エレベータのアイデアは30年も前に記述済みであって後は作るだけだよと諭され、研究を頑張った。その後スリランカで再び会い成果を報告した際には、(いまだ実現できていないとはいえ)内容に満足してもらえた。
- インターネットは宇宙が生まれたときから存在した。ただ、それを「使えるようになった」のが10数年前のことであったに過ぎない。科学とは、そうした類の発見を行うためにある。もし100年前にネットが使えるようになっていたら?といった想像を働かせるのは好き。
- 目下東大で進めているインフラフリープロジェクトは、自律的生産技術をベースとして、(1)仮設住宅、(2)スラム地域の住宅、(3)日本の郊外住宅への適用が考えられる。
- ケニアでは所有する牛の数が重んじられ、モンゴルではナンパに馬の曲乗りが必要。プロジェクトマネジメントとは、何を大切にし、何を大切にしないかを知るということ。
- 帰還直後のスペースシャトルに搭乗した機会があったが、中はひどい臭いだった(タンクの臭い?)。
- 好奇心だけではうまくいかない。勝ちたい、心からそれをやりたいという気持ちが必要。
- インターネットは今は便利だけれど、これから先はどうだろう?今は人間の考え方をネットに教えているとも言えるわけで、もしネットが自ら考える能力を獲得する日が来るとしたら?100年後の世界をいろいろと想像してみて欲しい。
質疑応答の際に、なぜ宇宙を目指したのか、宇宙で特にやってみたいことがあるか聞いてみたけど、宇宙飛行士に選ばれたのは宇宙工学系のバックグラウンドがあり、またスキーのトルコ代表選手として金メダルを獲得してきた経緯があって身体能力にも優れていたことから「たまたま」選ばれたのだ、というようなお返事。月・火星ミッションの火星行きグループに属しているのだそう。
イベント終了後には著書の即販&サイン会も催され、僕は「タイムマシン」を買って「See you in space...」のメッセージと共にサインをいただきました(浅野さんにお願いし、しっかりツーショットも撮っておきました!)。Serkanさん、浅野さん、ありがとうございました。