「宇宙へ〜冷戦と二人の天才〜」後半
著
前半を見たところやっぱり我慢できなくなったので、昨夜に引き続きBBC制作のドキュメンタリードラマ「宇宙へ〜冷戦と二人の天才〜(原題:Space Race)」の第3、第4回を見ました。前半同様、かくさんが再放送を録画してくださったものです(ありがとうございました)。後半では人類初の有人宇宙飛行、そして月面への到達をめぐる宇宙開発競争が描かれています。
全4回の放送すべてを見終えて、冷戦構造がもたらした科学技術の進歩って凄まじかったのだなと、あらためて感じました。コロリョフとフォン・ブラウンという偉大な二人の天才が同じ時代を生きたという事実もさることながら、その背景に社会主義と資本主義の壮絶なせめぎ合いがあったからこそ、尋常ならざるエネルギーが彼らの推進した宇宙開発に注ぎ込まれたわけで。彼らにとって、あるいは人類全体にとって、それは好都合だったと言えるかもしれません。太古の昔から軍拡が科学の進展速度を制御する側面はあったにせよ、地球以外の天体に足跡を残すほどの急速な進展が、人類史からみてごく短期間のうちに成し遂げられたというのは、やっぱり凄いと思うわけで。もしかしたら、そのような急速な進展がもたらされただけ、人類は滅亡の危機にあったと言えるかもしれません。原爆や水爆といった殺戮兵器の開発や生産において米ソ双方は熾烈な競争を繰り広げていたし、それらを互いの敵国に打ち込むべくロケット開発に大金が投じられていた時期があったわけだから。
ちなみに、ドラマの最後はなんとも言えない寂しい終わり方に映りました。もちろんシリーズの中心はあくまでも二人の天才科学者にあったわけで、彼らの死をもって物語が終わるのはまったくもって自然ですけど……最近の宇宙開発事情の紹介なんて一切無かったものだから、まるで宇宙開発が尻すぼみになっているかの印象。それはそれで、彼らが生き抜いた時代から比べてしまうと事実かもしれませんが。