衝撃のスペースシャトル事故調査報告

2004年10月7日 著

澤岡昭著「衝撃のスペースシャトル事故調査報告—NASAは組織文化を変えられるか」を読了。「はじめに」の中で、コロンビア号事故調査報告書を読んで前著「日本企業はNASAの危機管理に学べ!」の増刷を中止する決心をしたというエピソードを紹介しています。確かにそれも無理はありません、お手本であるとしたNASAの危機管理が結果的にはお粗末であったがゆえに「再び」悲劇を招いてしまったのですから。
本書はアメリカの宇宙開発において過去に発生した事故、とりわけ事故後のNASAの動きを追うことで、その実態に迫ろうとしたものです。がしかし、関連情報の寄せ集め的な印象が強く、また内容上の重複というか冗長が随所にみられたほか、著者独自の視点に基づく考察が少なく感じられ、総じて退屈でバランスの悪いもののように映ったのが残念。もっとも、日本企業がNASAから学ぶべきものについては将来別の著書で取り上げたい旨お書きになっているので、そちらに期待しておくかな。
気になったのは、「おわりに」の中で、宇宙開発分野における中国の台頭がアメリカに及ぼす影響に言及しているところ。まぁ確かにそれはそれで十分発奮材料たり得るとは思いますが、結局のところライバル（場合によっては「敵」？）あってこそのアメリカなのかなぁと。軍需と密接なだけにそれも致し方ない側面ではある、と思いますが。