今年の鳥人間コンテストの運営に物申す
著
既に先のエントリ「2004年の鳥コン観戦2日目」で触れましたが、今年の鳥人間コンテストにおける人力プロペラ機部門が競技不成立となったことについて。その「不成立」という言葉が意味するところを正確に理解したわけではないのですけど、競技参加者の努力の全てを無に帰するかのごとくの大会事務局側の判断には、個人的には強い不満、いやむしろ憤りを感じます。
部門中、参加チームの半分近くが離陸できなかった以上、どのチームが優勝だとか、つまり順位付けや表彰を行うことが難しいというのは理解できます。しかしながら、あのような悪条件下、強い背風を受けながらもプラットフォームから離陸することができた飛行機について、その飛行自体をまるで「無かったことにする」というのは、いくらなんでも競技参加者はもちろん、ファンや視聴者をも愚弄しているとしか思えません。
仮に人力プロペラ機部門が本当に「無かったこと」として扱われ、オンエアで一秒たりとも取り上げられなかったとしたら、そんな酷い話は鳥コン史上初のケースになるのではないでしょうか。かつて台風で大会自体がキャンセルされたときには、代わりに出場チームの努力を讃え、紹介していたと思うのですけど、8月28日放映予定の番組が同様のスタンスで制作されていることを切望します。
あまりこういうことを書くと、僕が今大会で最長飛行距離を記録した早稲田大学宇宙航空研究会のOBだからこそ、そうやって駄々をこねるのだろうなどと詮索する人もいるかもしれません。確かに、そういう理由も全く無いわけではないかもしれません。しかし、後輩の成績の如何に係わらず、とにかく事実を事実として記録は公式に残すべきだ、というのが僕が強く主張したいことです。
チョット話は変わりますが、(噂話の域を出ませんけども)YAMAHAは早々に棄権を申し出ていたにもかかわらず、大会事務局側は目玉チームの辞退=視聴率の低下を嫌ってか、あくまでも飛行をするよう説得を試みていたのだそうです。もしそれが本当だとすれば、裏を返せば、有力と目されるチームは適当にゴネれば、予め定められた飛行順と関係なく、別の(より条件の良い)タイミングを選んで飛行することができてしまうことになります(今年のYAMAHAにそのような意図はモチロン無かっただろうと思いますけど)。
まぁ、そんなこんながありまして、今年の鳥人間コンテストの運営についてはどうしても物申さずにはいられなかったわけです。競技に参加した当事者の中にも同じような想いを抱いている人がきっといるとは思うのですけど、当事者の立場ではなかなか書きにくいことでも、僕のような外野の立場であれば、さほど気にせずに書けます。
鳥人間コンテストは、確かに讀賣テレビ放送株式会社の主催による、番組制作を主たる目的としたイベントである以上、競技参加者はその企画の背景や意図も汲んだうえで参加する必要があり、大会事務局側の判断には基本的に従わざるを得ないでしょう。ただでさえ、他に類を見ないスケールの「飛行場」をお膳立てしてくれているわけですし。
しかしだからといって、それは大会事務局側の言うことに何でも絶対服従する、ということにはならないはずです。彼らだって常に競技参加者の視点、あるいは視聴者の視点、総じて鳥人間精神を無視しては大会を催行、あるいは継続できないと思っています。今年で28回目を数えた鳥人間コンテストは、大きな転換点を迎えているのかもしれません。
[2004/8/5追記]
東工大の元パイロット、そーすけさんのウェブサイトによると、どうやらフライトできたチームの記録は、大会の正式記録としてこれを認める
のだそうです。良かった!!