かつしか天文セミナー3月
著
かれこれ3回目になりますが、葛飾区郷土と天文の博物館で開催される「かつしか天文セミナー」に参加してきました。今回のテーマは「宇宙の環境問題:スペースデブリ」ということで、講師はJAXA経営企画部の木部勢至朗氏。PowerpointによるプレゼンではなくOHPを使っていたのですが、お話はとても分かりやすかったです。
デブリは年々3〜5%ぐらいの勢いで増加しており、2002年の時点でカタログ化された人工物体は9138個。増加の一因に挙げられる宇宙空間での爆発事故は、同じく2002年までの累計で約170件も確認されている模様。傾斜角60度の軌道上にセンチオーダーの球体が多数確認されていたのが、実はソ連の原子炉を搭載した衛星が放出したNaK(断熱材として用いられる液状のカリウムナトリウム合金)らしいという話は興味深かったです。質疑応答では、デブリの回収案として巨大な発泡スチロールを浮かべるというアイデアが紹介されました。
僕の質問も取り上げていただけたんですが、デブリ増加を抑制するための国際法は今のところ存在しないものの、目下UNCOPUOSで議論中とのこと。また、今後ISOでもデブリに関するものが定められるらしい。各国宇宙機関では既に独自の基準を持ってはいるそうですが。