JAXAの浮沈を握る広報活動
著
環境観測技術衛星「みどりII」の機能停止、H-IIAロケット6号機の打上げ失敗、そして火星探査機「のぞみ」の火星周回軌道投入の失敗と、日本の宇宙開発では立て続けに暗い出来事ばかりが起きています。がしかし、陳腐な言い回しではあるけれど、「ピンチはチャンス」でもあると思います。そしていまや、それを具現化できるか否かの鍵を握るのは広報活動だと考えます。
元来の宇宙ファンはさておき、そうではない(宇宙開発に対し日ごろ興味をあまり持たない)一般の人々に対し、宇宙開発の必要性や重要性、貢献度、費用対効果などについて「今」理解を深めてもらわずして、一体いつそれができるというのでしょう。それができないままでは、失敗→マスコミに「○○億円が無駄」などと叩かれる→ますます予算を減らされる→信頼性が確保できずにまた失敗、みたいな悪循環から「永遠に」脱することができないのではないでしょうか。今こそより積極的な広報活動を行い、より多くの人々から理解を得、究極的には「味方につける」べきです。
「のぞみ」の一件では、読売新聞に掲載された不正確な記事をきっかけとして、JAXA/ISASのウェブ上では高頻度な情報提供が開始され、それまで乏しかった「のぞみ」の最新情報が逐次入手できるようになりました。また的川先生による、平易でしかし感動的なメッセージは、多くの人々に「のぞみ」の何たるかを心に刻ませたと思います。これらは総じて、(日ごろからの)こまめな情報公開だとか、「顔の見える」広報活動がいかに効果的かを示しているように感じます。このような広報活動を、是非JAXA全体でも展開して欲しいな、と思いました。