レスポンシブWebデザインとかアダプティブWebデザインとか
著
( [2013-05-31 追記] Google+ のほうでツッコミいただきましたが、引き合いに出している記事における話が「Webの」デザインなのか、もっと広い意味でのデザインなのか、がやや不明瞭であるにもかかわらず、自分のほうで勝手に前者=Webデザインの話として一方的に解釈のうえ記事を書いてしまいました。その点は自分の読解力不足であり、反省すべくこのまま恥を晒しておきます。)
社内でもレスポンシブからアダプティブへ - 必要な情報を、必要なときに、必要としている人へ | Digital experience Universityという記事が話題になったので。自分がこの記事で気になったのは、センサーを搭載したデバイスを用いてパーソナライズされた情報を届ける「アダプティブデザイン」というコンセプト
という出だし。何も知らない読み手であれば、アダプティブWebデザインの定義をそう受け取るでしょうし、センサーを搭載したデバイス
に特化したデザインでなければアダプティブWebデザインではない、というような誤解を招きそう。加えて、その少し後にレスポンシブデザインとは、デスクトップからスマートフォンやタブレットまで、Webのコンテンツをデバイスのスクリーンサイズに最適化して表示する手法
とあるけれど、以前から繰り返し書いているように「最適化」という単語をレスポンシブWebデザインの定義として使うのは違和感があります。
Web広告研究会でご一緒しているサイズの糟谷さんが以前講演されたとき、マルチデバイス対応の方法は専用化と汎用化がある、と仰っていたけれど(Webサイトのマルチデバイス対応とHTML 5に対応したCMSとは|サイズ | Web担当者Forum参照)、自分もその点は完全に同意(ただし「専用化」ではなく「最適化」という単語を使用)。レイアウトにしろビジュアルデザインにしろ、コンテンツにしろ、あるいは提供する機能にしろ、そういう諸々を全部ひっくるめて考えたときに、特定のコンテキストに最適化するのか、それとも不特定のコンテキストを前提に汎用化するのか、方向性としてはその2つしかないと思うんですね(落としどころとして「そのあいだのどこか」に着地することもあるにせよ)。ASCII.jp:週アスWeb担が語った「汎用化」「最適化」のコツという記事も参考になると思います。で、最適化の手法としてアダプティブWebデザインと呼ばれるアプローチがあり、レスポンシブWebデザインというのは汎用化のための手法である、と。長ったらしいラベルを使うより、区別するなら「最適化」と「汎用化」でもって方向性を整理したほうが自分はスッキリするんだけどなぁ。
話が一気にややこしくなるのはRESS(Responsive Web Design + Serverside components)のような、汎用化をベースにしながらも部分的に最適化のアプローチを取り入れるとき。これだけデバイスが多様化してしまっている以上、最適化することのリスクというのは相対的に増えつつあると思われ、基礎的な部分にはしっかり汎用性をもたせて設計しつつ、操作性に関わる部分などについては必要に応じサーバー側でデバイス個別に最適化(出し分け)するようなことって、今後増えると思うんですよ。そうなると益々、話がややこしくなるというか、もうレスポンシブもアダプティブも全てまとめて単に「Webデザイン」でいいじゃんよ、と強く思いますね。どうもマーケティング的にいろんな言葉がこの界隈では登場するけど、結局のところユーザーのコンテキスト(そのコンテキストには当然アクセスに用いるデバイスの特性も含まれる)に対し、どこまで寄り添ったデザインを提供するかっていうさじ加減の話でしかないのだから。