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レスポンシブWebデザインと「最適化」

レスポンシブWebデザイン(Responsive Web Design、以下「RWD」)は、いま自分が注力している旬なテーマのひとつであり、それゆえに取り上げている記事などもいろいろ読んだりしているのですが、RWDが「最適化」の3文字と共に紹介されているのを見かけると、ちょっと首を傾げたくなります。RWDの記事に限らないかもしれませんが、おそらく「最適化」という言葉が使われるとき、何に対しどういう尺度でもって最も適していると言っているのか、そのへんが明示されていないことが多い、というあたりに原因がありそうです。そういう明示がされないままで、半ば盲信的にRWDをプッシュされていたりすると尚更「なんだかなぁ」と思います。

デバイス固有のスクリーンサイズに対し、Webページのレイアウトやビジュアルデザインがフィットしているかどうか、一定の使いやすさを提供できているかという尺度で考えるなら、RWDという考え方、アプローチは専用化ではなく汎用化に近いのであって、特定のデバイスなりスクリーンサイズに最適化するためのものではありません。だいぶくどくなりますが、敢えて書き下すなら

と理解しています。ちなみに上記で使っている「対応」の二文字も「最適化」に負けず劣らず曖昧に受け取ることのできてしまう言葉ではあるのですが、ここでは既に書いたように、一定の使いやすさを実現するためのレイアウト/ビジュアルデザインを提供する、という意味合いで使っています。うーんそれでもやっぱり曖昧は曖昧か。しかし尺度や前提の明示されないままでのRWD=最適化という論調は、あたかもRWDが「あらゆる面で最も適した状態を実現する」かの誤ったイメージを与えてしまう懸念があり、たとえば表示速度といったRWDの短所と言われる部分を包み隠してしまう可能性があるのではないかと。あらゆるメソッドなりソリューションには長所・短所がつきものであって、それが解決する課題もあれば解決しない課題もある(ある課題を解決する代償としてまったく別の新たな課題を生むことだってある)、という認識を読者の側がもってさえいれば、大した問題ではないかもしれませんけどね。

あまり関係ないけど、PCサイトをスマートフォン向けに自動的に変換(謎)するのを「最適化」という言葉とともに宣伝しているサービスがありますが、そういうのを目にして「うーむ」と唸ってしまうのと同じ感じです。オチはありません。

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