人力飛行機
あなたは人力飛行機という飛行機を知っていますか?それはその名前の通り、動力源に人間の筋肉のみを用いて飛ぶ「乗り物」です。「ジェット機による大量・高速輸送の時代なのに、誰がそんな馬鹿げたものを作るのだろう?」あなたは、そう考えるかもしれません。モチロン、人力飛行機がジェット機にとってかわることなど到底不可能です。
確かに、人間の持つパワーは機械の生み出すそれよりもはるかに貧弱で、しかも持続性の無いものですが、しかし完全にクリーンなエネルギーであり、そして人は誰しも生まれながらにその素晴らしい「動力源」を持ち合わせています。
移動手段への人力の適用としてもっとも成功を収めたものとしては、自転車やボートがあります。その過程においては動力源としてのみならず、レクリエーションとしての可能性も追求されてきました。そして、科学技術の進歩とともに、人力というリソースにも無限の可能性が見い出されました。人力水中翼船や人力潜水艦、そして人力飛行機はその良い例であり、そこには夢があります。
ちなみに人力飛行機の現在の最長飛行距離はどれぐらいだとあなたは思いますか?アメリカはMITのチームが製作したDAEDALUSという人力飛行機は、1988年に今なお世界記録に残る116.6kmもの距離、時間にして約4時間を飛び続けたのです。それこそは、科学技術と人力の素晴らしい融合こそが成し遂げた快挙でした。
このページでは、主に僕がこれまでに関わった人力飛行機を中心に、人力機(HPV : Human Powered Vehicle)について紹介します。(鳥人間コンテスト参加希望者の方にも参考にしていただけるかもしれません。)
最近の人力飛行機関連の動き
残念ながら、時間が取れないためこのページをメンテナンスすることができないでいます。しかし、「覚え書き」の中の「人力飛行機」カテゴリに、最近のニュースなどをまとめていますので、もし興味がありましたらそちらをご覧ください。
主なコンテンツ
これまでの人力機との関わり
- ?(1992.04 - 1993.07)
- 大学入学後に入ったサークル「早稲田大学宇宙航空研究会」で製作に携わった初めての人力飛行機(名前は無かった)。いろいろなパートを手伝ったけれど、おそらく最も長く携わったのは主翼。鳥人間コンテスト本番では飛距離55.11m(部門中8位)。
- Little Wing '94(1993.07 - 1994.07)
- 前年の結果を目の当たりにし、なぜかパイロットを志願。初めて搭乗した人力飛行機。試験飛行ではかろうじて浮上に成功した。鳥人間コンテスト本番では操縦系の故障のためすぐ着水、飛距離59.35m(部門中10位)。
- Perdix(1994.08 - 1995.07)
- 前年に引き続きパイロットとして参加、サークル記録の更新に執念を燃やし、現役最後の全てを賭けた飛行機。試験飛行で400m程度の飛行はこなすことができ、本番では910.92mを飛行(部門中4位)。
- 日大式人力飛行機(1996.01 - 1996.04)
- 所沢航空発祥記念館に寄贈するべく活動していた日大航空研究会の人力飛行機復元プロジェクトに途中参加。復元後の記念搭乗会では実際に飛行を体験。
- Daedalus(1996.08)
- いわずと知れた、飛行距離・飛行時間ともに世界記録保持機であるMITのチームが製作した人力飛行機。1996年の米国旅行時にBostonのMuseum of Scienceで感動の対面を果たす。空力設計者のMark Drela氏ともお会いする。
- Monarch B(1996.08)
- DaedalusとともにBostonのMuseum of Scienceに展示されている、Kremer Speed Prizeを獲得した人力飛行機を見学。
- Decavitator(1996.08)
- DaedalusとともにBostonのMuseum of Scienceに展示されている、DuPont prizeを獲得した人力水中翼船を見学。
- RAVEN(1997.04 - 1997.06)
- 大学卒業後に米国Seattleへ語学留学した際、現地で活動していたRAVEN Projectに参加。チーフエンジニアのPaulとは前年の米国旅行時に見学に訪問したとき以来の仲。
- 鶚Hydrofoil(1997.12 - 1999.08)
- 日大航空研究会のOBが主に集まって始まった「鷹匠プロジェクト」に参加。Decavitatorスタイルの空中プロペラによる水中翼船を製作、試験航行を実施。
- Airglow(1998.02)
- Kinとともにイギリスに渡り、僕と生年月日が全く同じくして人力飛行機野郎だったN村をつてに見学に訪れた名人力飛行機。
- 作蔵VI(2000.04 - 2000.07)
- 日大航空研究会のOBが主に集まって始まった「Team Typhoon #09」に途中参加。台風で中止になった1997年の鳥人間コンテストのパイロットSeo君を飛ばすも、本番では駆動チェーンの破損により飛距離183.90m(部門中7位)。