白内障の罠 ~一生「よく見る」ための予防と治療~
白内障の手術に向けて読んだ3冊目の書籍が『白内障の罠 ~一生「よく見る」ための予防と治療~』。結論としてはnot for meな一冊で、その理由としては大きく2点あります。
第一に、過度に専門的すぎた内容。もちろん著者としては、患者の立場でもこれぐらいは知ったうえで手術に臨んでほしいといった願望を込めて書いたのでしょう。その意図は理解できますが、自分にとっては度を超えた専門性を感じましたし、新書というレベルでもないかなと。
第二に、著者ご自身による宣伝、自分語りが過ぎて感じられた点。確かに世界的な名医なのでしょうし、技術・経験値ともに素晴らしい方なのだと察します。しかし、たとえば手術経験が25万件ある、とのくだりが本文中に13回も出てきます。2〜3回ならまだしも、さすがにウンザリしました。
じゃあ本書がまるでためにならなかったかといえば、決してそうでもなく、前に読んだ2冊とは違った点で参考になる内容もありました。たとえば
白内障があると、中間色の薄い赤色や薄い青色などが見えなくなります。じつはこれは、社会的にはかなり問題なのです。
とあって、色覚の変化やそれを取り巻く環境を取り上げています。自分の目もすでに正常な色覚からはずれてきている可能性があるわけで、注意しなければ。関連して、画家にまつわるエピソードがたびたび本書で扱われるのは、眼科医であると同時に画家でもある著者ならでは、でしょう。また
目は光を電気信号に変えて、その信号を脳へと伝えている感覚器です。見るということは、脳の解釈です。見ることは、脳の学習でもあるのです。これが、見ることの本質的な一面です。
というように、「目」という感覚器に限定せず「見る」という体験全体からアプローチしているふうな記述には、好印象を抱きました。例えるなら、UIのみならずUX全体を捉えたうえでの論説と読めたのです。これも、おそらくはご自身が絵を描いていらっしゃるのと無関係ではないでしょうね。
@kazuhitoは、木達一仁の個人サイトです。主に宇宙開発や人力飛行機、Webデザイン全般に興味があります。Apple製品と麺類とコーヒーが好きです。南極には何度でも行きたい。アクセシビリティおじさんとしてのスローガンは「Webアクセシビリティ・ファースト」。